台湾総統「軍事衝突は選択肢にない」 中国に対話促す

【台北=龍元秀明】台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は10日、中華民国の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀式典で演説した。8月のペロシ米下院議長の訪台後、中国が台湾への圧力を一段と強めたことを受け、「台湾海峡や地域の平和と安定を脅かしている」と強く非難した。その上で「軍事衝突は選択肢にない」と述べ、対話を呼びかけた。
台北市内の総統府前で演説した。蔡氏は中国による軍事・外交・貿易の各方面の圧力に触れ、「両岸関係を遠ざけるだけだ」と指摘した。双方が受け入れ可能な解決策を見いだすことが「我々の共同責任」と述べ、中国との対話では「台湾が主張する主権や民主・自由の尊重が前提」とした。
一方、蔡氏は台湾が防衛力の強化に向けて関連予算の拡充や武器の自主開発を進めてきたことにも触れ、「台湾は自衛に責任を持ち、パートナー国とともに地域の平和を維持する」と述べた。台湾が先端品生産の9割を握る半導体産業については「集中はリスクではない」と強調した。
ペロシ氏の訪問後も、米国や日本、欧州から議員や高官の訪台が続いている。蔡氏は各国の支持に謝意を示し、「国際社会は、台湾の民主・自由が破壊されれば、民主主義陣営の大きな敗北になると明確に認識している」と述べた。
祝賀式典には8日から訪台中の超党派の議員連盟「日華議員懇談会」の一行が参加した。カナダ下院の超党派議員団も双十節に合わせ9日から訪台している。
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