インド富豪、コロナ下でも株高で資産増 中国勢と差

インドの富豪が新型コロナウイルス禍でも資産を増やしている。大手財閥リライアンス・インダストリーズ会長のムケシュ・アンバニ氏は資産総額でアジア首位に立ち、新興財閥のアダニ・グループのゴータム・アダニ氏も資産を大幅に増やした。インドでは経済活動の正常化への期待感などから主要株価指数の高値が続く。当局によるIT(情報技術)企業への締め付けに揺れる中国と明暗が分かれた。
米ブルームバーグ通信の世界富豪ランキングによると、アンバニ氏の資産総額は6月22日時点で851億ドル(約9兆3973億円)と、年初から1割増えた。中国勢を上回り世界ランキングでも12位だった。アダニ氏も2021年に入ってから資産を322億ドル増やし、659億ドルとなった。
インド企業の株価上昇が、資産の増加につながった。インドでは新型コロナが3月以降に急増し、1日あたりの新規感染者数が5月上旬には連日40万人を超えた。足元では5万人程度で推移し、一部地域ではなお外出制限が続く。
それでも、今後の経済活動再開への期待もあり株価への影響は限定的だった。代表的指数であるムンバイ証券取引所のSENSEXは一時4万台に低下したものの、全土でロックダウン(都市封鎖)が実施された20年3月(2万台)に比べれば高い水準にある。SENSEXが過去最高値を更新する日もあるほか、リライアンスなどの株価も好調に推移する。
一方でネットサービス大手、騰訊控股(テンセント)の馬化騰(ポニー・マー)氏ら中国勢は、インド勢に比べると資産総額の伸び悩みが目立つ。当局がIT企業に対して独占禁止法などによる締め付けを強めており、業績の先行きは不透明感が漂う。アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏の資産は21年に入り、20億ドル近く減少した。
(花田亮輔)

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