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中国、個人資金の監視強化 90万円超で用途報告義務

(更新)

【北京=川手伊織】中国人民銀行(中央銀行)などは、3月から個人預金の管理を強める。現金の預け入れや引き出しが1回あたり5万元(約90万円)を超す際には、お金の出どころや使い道を登録するよう市中銀行に義務付ける。不正所得のマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐ。外貨も対象で、海外への違法な持ち出しを取り締まる狙いもありそうだ。

人民銀、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会がこのほど新法規を公表した。外貨は1万ドル(約115万円)相当を超す預け入れや引き出しが対象だ。

これまでは身元確認の徹底だけを求めていた。新たに給与や株式配当などお金の出どころ、使い道も把握し登録するよう義務付けた。具体的な確認方法は明らかにしていないが、引き出したお金の取引記録など証拠書類の提出を求められる可能性がある。

新法規は管理強化の狙いを「資金洗浄やテロ資金への流用を防ぐため」と説明する。なかでも、脱税など不正所得の資金洗浄を厳しく取り締まる意向がにじむ。

中国メディアによると、2021年に金融当局が銀行に下した処分のうち、資金洗浄に関する処罰案件は1460件だった。前年比5割増で、全案件の16%を占めた。22年秋に予定する5年に1度の共産党大会を控え、地方の党幹部らの腐敗撲滅をてこ入れするという政治的メッセージもありそうだ。

不透明な海外への現金の持ち出しを防ぐ狙いもある。現在持ち出せるのは原則、人民元で2万元、外貨で5000ドル相当だ。ただ生活費など出費が膨らみやすい海外留学の目的だと上限規制が緩いという。

海外との資金取引に詳しい関係者は「子弟の海外留学という理由で外貨を多めに持ち出し、実際は海外で不動産を買う例もある」と語る。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため敷いた入国規制を緩める動きが海外で出始めているなか、留学を隠れみのにした不正な資金持ち出しに目を光らせる意図がうかがえる。

新型コロナ後の資金流入の拡大がいつまで続くか見通せない面もある。企業や個人が21年に中国の銀行口座を通じて実際に海外とやり取りした金額は、2676億ドルの流入超過となった。13年以来の高水準だ。

ただ主要国が金融政策を正常化させるため利上げに動けば、海外との金利差が縮まり、中国への債券投資の勢いが鈍る可能性がある。海外のサプライチェーン(供給網)の復旧で、多額の貿易黒字を生み出した輸出も伸びが落ち着くとの見方が多い。

15~19年は一貫して資金流出が続き、人民元相場を下支えするためのドル売り・元買い介入で外貨準備高が大幅に減った時期もあった。国際金融市場の変化や米中対立を踏まえ、資金流出を将来的なリスクと捉える向きはある。

人民銀は20年、河北省、浙江省、広東省深圳市で試験的に現金取引の監視強化を始めた。個人名義の預金口座は河北省で10万元、浙江省で30万元、深圳市で20万元を超す現金取引は、人民銀への報告を義務づけた。

人民銀は開催中の北京冬季五輪の会場も含めて、デジタル人民元の実証実験に取り組んでいる。デジタル人民元は現金に比べて匿名性が制限される。法整備を含めて発行準備を進める方針で、預金を通じた現金取引の監視とともに、お金の流れ全体をガラス張りにする思惑がありそうだ。

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