シンガポールの設備投資、22年過去最高 半導体が寄与

【シンガポール=谷繭子】シンガポール経済開発庁(EDB)が9日発表した2022年の同国の設備投資額は、前年比91%増の225億シンガポールドル(約2兆2200億円)だった。半導体関連などエレクトロニクス産業の投資がけん引し、過去最高となった。ただ金利上昇の影響もあり、23年の投資額は減少する見通しだ。
工場など固定資産への新規投資を集計した。部門別ではエレクトロニクスの割合が67%と最も大きく、前年の42%から伸びた。台湾の半導体大手、聯華電子(UMC)が50億米ドル(約6600億円)の新工場建設を決めるなど、半導体業界の世界的な能力拡大と供給網見直しが追い風となった。
22年の投資額は同国の中期目標額である「年間80億〜100億シンガポールドル」を上回った。国・地域別では米国が51%と前年から引き続き首位で、欧州が21%、中国は9%だった。
日本からの投資は全体の0.3%と、前年の1.7%からさらに落ち込んだ。EDB幹部は「新型コロナウイルスと円安の影響」と指摘した。
足元の半導体市況は悪化しているうえ、金利上昇の影響もあり、ベー・スワンジン長官は23年以降は「(22年と)同水準の投資額は期待できない」と記者会見で述べた。他国との投資誘致競争の激化も「向かい風」だとした。
ただ半導体については「デジタル化による需要の拡大という長期見通しは変わらない」との見方を示した。