香港スワイヤ、前期の実質純利益10%減 航空の赤字拡大

【香港=木原雄士】香港の英系複合企業、スワイヤパシフィックが9日発表した2022年12月期決算は不動産評価を除く実質純利益が47億香港ドル(約820億円)と、前の期に比べて10%減少した。不動産や飲料事業では黒字を確保したものの、キャセイパシフィック航空など航空事業の赤字が拡大した。
売上高は1%減の916億香港ドルだった。ガイ・ブラッドリー会長は声明で「新型コロナウイルスやインフレ、経済の不透明感など厳しい状況で粘り強さを示した」と指摘した。
スワイヤは中国本土や香港で不動産事業を展開するほか、コカ・コーラのボトリングや航空関係ビジネスを手掛ける。ブラッドリー氏は22年のベトナムとカンボジアでのボトリング事業買収などを挙げ「戦略的な目標達成に向けてよい進展があった」と振り返った。不動産では22年3月に設定した1000億香港ドルの投資枠のうち390億香港ドル分のプロジェクトを決めたという。
ブラッドリー会長は9日の記者会見で「中国でも、他の国や地域で見られたようなリベンジ消費やリベンジ旅行を大いに見込んでいる」と述べ、コロナ政策の転換に伴う経済活動の再開に強い期待をのぞかせた。23年に入って既に数回、中国本土を訪れたという同会長は、景気回復を阻害するリスクについて「とても限定的だとの思いを強めている」とし、消費主導の回復への手応えを語った。
同席した傘下の不動産会社スワイヤ・プロパティーズのティム・ブラックバーン最高経営責任者(CEO)は、中国本土で展開するモールなどの商業施設での小売売上高が1月、「ほぼコロナ前の水準を回復した」と明らかにした。香港についても同様の傾向だという。