/

韓国大統領選、開票進む 保革候補が異例の激戦

(更新)

【ソウル=恩地洋介】韓国大統領選が9日、投開票された。革新系与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と、保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補の事実上の一騎打ちで、激戦を展開した。尹氏が勝てば5年ぶりの二大勢力間の政権交代となる。選挙結果は、歴史問題で悪化した状態が続く日韓関係にも影響を及ぼす。

10日午前1時時点の開票率は63%で、得票率は尹氏が48.5%、李氏が47.9%。公共放送KBSなどテレビ3局が9日に共同で実施した出口調査は尹氏が48.4%、李氏が47.8%と横一線だった。過去最高の割合となった期日前投票を含む投票率は前回並みの77.1%(暫定値)となった。

韓国大統領の任期は1期5年で、再選はできない。野党への政権交代を求める世論が強まる中の大統領選は、2017年に発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権の審判の意味合いを帯びた。当選者は約2カ月の政権移行期間を経て、5月10日に大統領に就任する。

李、尹の2候補はいずれも国会議員の経験がない。21年10月まで京畿道知事を務めた与党の李氏は「危機に強い有能な経済大統領」を自称した。経済活性化に向けた改革を唱えており、コロナ禍で疲弊した家計支援策などに総額300兆ウォン(約28兆円)を投じる公約を掲げた。

21年3月まで検察総長だった野党の尹氏は、検察改革を巡って文政権の法相と激しく対立した経験を踏まえ、保守への政権交代の必要性を訴えた。演説では「自由民主主義や法治を守り、腐敗を厳しく処罰する」と改革や綱紀粛正の必要性を訴えた。

文政権に批判的な世論は、21年春に浮上した公職者の不正土地取得問題を機に高まった。ソウル市のマンション価格は5年間で約2倍に高騰し、政権与党の幹部による不正に市民の怒りが高まった。

先週までの各種世論調査は、尹氏が僅差で先行していた。尹陣営は野党候補を一本化した効果に期待をかける。中道野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)代表は選挙終盤戦の3月3日に立候補を取り下げ、尹氏の支持に回った。

当選者は文政権が放置した日韓の負の遺産への対応が求められる。最も深刻なのは、原告が差し押さえた日本企業の資産の現金化が迫る元徴用工問題だ。日本政府は企業に実害が発生した時点で報復も辞さない方針で、さらなる関係悪化を招く可能性がある。

大統領選は、新型コロナウイルスの感染者が増え続けるさなかで繰り広げられた。4、5両日の期日前投票は、感染者ら隔離対象者の投票済み用紙がずさんに扱われたことが問題となり、公正性に疑問の声が上がった。

9日の投票は一般の有権者と、コロナ感染者ら隔離対象者を時間帯で区別して実施された。投票所では一般投票を午後6時に締め切った後の午後7時半までを隔離対象者の投票時間に設定した。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン

権限不足のため、フォローできません