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サムスントップ仮釈放へ 韓国法務省、経営復帰は制限

サムスントップの李在鎔氏は約7カ月ぶりに釈放される(1月、ソウル高裁)=AP

【ソウル=細川幸太郎】韓国法務省は9日、サムスン電子トップの李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を13日に仮釈放すると発表した。罪を免除・軽減する「赦免」とは異なり、経営復帰は一部制限される。李氏を巡っては国民の7割が釈放に賛成するとの世論調査もあり、文在寅(ムン・ジェイン)政権は来春の大統領選への影響を考慮したもようだ。

法務省の仮釈放審査委員会が9日に協議し、仮釈放適格と判断した。同日記者会見した朴範界(パク・ボムゲ)法務相は「新型コロナウイルスの長期化による国内の経済状況、グローバル経済環境を考慮し、李在鎔副会長が対象に含まれた。社会感情、拘置所での態度など様々な要因を考慮して決定した」と説明した。

李氏の刑期は2022年7月まで。刑期満了まではサムスン経営への関与や海外渡航などが一部制限される見通しだ。具体的な制限内容については明らかになっていないが、サムスン側は今後、制限緩和措置を法務省に要請するとみられる。

韓国では毎年、日本の植民地支配からの解放を祝う8月15日の光復節の祝日に合わせ、受刑者の一部の赦免や仮釈放を実施する。これまでも財閥トップは横領や背任などの罪で有罪になっても時の大統領の権限で特別赦免を認められてきた経緯がある。

ただ労働組合を支持基盤に持ち、財閥改革を強く訴えてきた文大統領はこれまで「重大犯罪に対して赦免はしない」と主張してきた。「公正」を掲げて財閥の不正に厳しく対処してきた文政権だが、4月のソウルと釜山のダブル市長選で与党が敗北した後に、来春の次期大統領選をにらんで財界との関係改善に動いてきた。

財界は大統領府に李氏の赦免の建議書を出し、韓国メディアの世論調査では「赦免賛成」が7割に迫る結果も出ていた。しかし既存の支持基盤への配慮から文政権は赦免ではなく、経営復帰に制約をかける仮釈放という折衷案を選んだとみられる。

李氏は17年に朴槿恵(パク・クネ)前大統領側への贈賄容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。今回の法務省の協議では収賄側の朴前大統領の仮釈放や赦免は議題にならなかった。今後、大統領選で保守系の支持者を取り込むために朴前大統領が対象となるかが注目されている。

サムスン創業家3代目トップの李氏の経営参加は一部制限されるが、同社にとって短期的な経営への影響は限定的との見方が多い。事業部門ごとに経営トップを置き、10年以上前から専門経営者に権限委譲を進めてきたためだ。

ただ中長期の投資計画やM&A(合併・買収)、経営幹部の人材登用などは財閥トップの専権事項でもある。技術覇権を巡る米中の対立の中で、世界大手の一角をなす半導体事業を抱えるサムスンの経営判断は一層難しくなっている。仮釈放後も実質的にトップ不在が続けば、過去になかった課題に対処できずにじりじりと競争力を失う恐れもある。

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