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中国価格転嫁、一段と遅れ 7月卸売物価9.0%上昇

原材料高騰、衣類・耐久品なお下落

【北京=川手伊織】中国国家統計局が9日発表した2021年7月の卸売物価指数は前年同月を9.0%上回った。6月の8.8%より上昇率が拡大した。資源高の影響が加工業にも広がるが、最終製品への転嫁は遅れている。中国でも新型コロナウイルスの感染再拡大で移動制限が強まっている。消費の下振れは販売価格引き上げを難しくし、収益を圧迫しそうだ。

7月の上昇率は、08年9月(9.1%)以来の大きさとなった21年5月と同じだった。前月比でみても上昇が続いており、企業の仕入れコストは高止まりしている。

主因は国際商品市況の回復に伴う原材料の値上がりだ。石油・天然ガス、石炭、鉄の採掘業はそれぞれ5割前後上がった。川上の価格上昇は川中の業種にも波及した。石油・石炭加工、鉄鋼、非鉄金属加工、肥料など化学原料、化学繊維は2~4割高まった。

卸売物価指数全体の上昇率のうち、この8業種だけで7.5%分押し上げた。

対照的に耐久消費財や日用品の伸びは鈍い。衣類は前年同月比0.4%、自動車は0.5%それぞれ下落した。パソコンなど電子機器は約2年ぶりにプラスに転じたが、0.3%の伸びにとどまる。

川上と川中の製品をまとめた生産財は12.0%上昇したが、川下の生活財はプラス0.3%にとどまった。生産財から生活財を差し引いた伸び率の差は遡れる07年以降最大となった。差が大きいほど価格転嫁が難しいことを示す。家計所得の増加ペースが緩やかで消費が勢いに欠けるなか、消費者に直面する小売企業などは販売価格を引き上げにくい。

消費者物価指数(CPI)も伸び悩んでいる。7月の上昇率は1.0%で、6月から0.1ポイント縮まった。中国人の食卓に欠かせない豚肉が43.5%下落した影響が大きい。アフリカ豚熱(ASF)による供給減で昨年半ばまで高騰していたが、出荷の回復に伴い価格も正常化した。

主要国の中央銀行が物価の趨勢を分析するうえで重視する食品とエネルギーを除くコア指数は前年同月より1.3%高かった。6月より0.4ポイント拡大した。昨年は新型コロナで航空チケットや宿泊など旅行需要が落ち込んでおり、反動で上昇率が大きくなった。

中国でも7月下旬から新型コロナの感染が再び広がっている。感染力の強いインド型(デルタ型)も確認され、半月ほどで30以上の都市に拡大した。当局は省をまたぐ移動を控えるよう呼びかける。感染者がいない地域でも映画館の入場者数を定員の75%以下に抑えるようにした。

移動制限は飲食を含め接触型の消費サービスを下押しする公算が大きい。中国の証券会社、海通証券は「消費はウイルスまん延の影響で弱含み、短期間で正常化させるのは難しい」と分析する。

インターネット販売を活用した節約消費の浸透に加え、サービス消費も停滞すれば、CPI上昇率は高まりにくい。21年の政府目標「3%前後」に対して、1~7月の実績は0.6%にとどまっている。

消費回復のもたつきは企業の価格転嫁を難しくし、収益を圧迫する。中国共産党政権は経済の安定成長へ対策を急ぐ。共産党は7月末の中央政治局会議で、原材料の供給確保と価格安定に取り組む方針を確認した。中小零細企業を下支えするため、資金繰り支援も重視する。ただウイルスの封じ込めに時間がかかれば、消費や物価の停滞が長引き、さらなる対策を迫られる可能性もある。

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