オーストラリア、ガス・石炭価格に上限 消費者を保護
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【シドニー支局】オーストラリア政府は9日、国内のガスと発電用石炭の価格に1年間限定で上限を設けると発表した。エネルギー価格高騰に対応し、消費者の負担を抑えるため。既存の輸出契約に影響はないという。東海岸で生産されるガスの卸売価格は1ギガジュールあたり12豪ドル(約1100円)を上限とする。石炭の価格は1トンあたり125豪ドルとなる見通しで、炭鉱が多い東部2州の政府が実施する。
アルバニージー首相が各州・準州の首相らと合意した。同氏はロシアのウクライナ侵攻後のエネルギー価格上昇に言及して「異常事態には特別な対策が必要だ」と強調した。豪政府の試算によれば、対策で平均的な世帯の電気料金は年230豪ドル下がる。
生産企業の反発は強い。豪州の石油・ガス生産者の団体APPEAは9日の声明で「強引で過激な(市場への)介入だ」と非難した。上限価格の設定でガス生産企業が「投資意欲を失い、将来の供給を減らす」と指摘し、長期では「価格上昇につながる」と主張した。
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