/

香港、抗議活動で700人超有罪 100万人デモから2年

4日、天安門事件の追悼集会を阻止する香港警察=ロイター

【香港=木原雄士】香港の一連の抗議活動のきっかけとなった2019年6月の100万人デモから9日で2年がたった。デモの原因となった「逃亡犯条例」改正案は撤回されたものの、当時の抗議活動に対しては厳しい司法判断が相次ぐ。香港政府は社会の安定が戻ったと主張するが、市民の不信は消えない。

香港警察によると、一連の抗議活動で今年4月末までに1万260人が逮捕され、4分の1にあたる2608人が暴動への参加や放火、警察官への暴力などの容疑に問われて起訴された。順次、司法プロセスが進み、これまでに715人が有罪判決を受けた。

香港は「一国二制度」のもと、言論や集会の自由が認められ、抗議活動が多い「デモの街」として知られていた。かつては無許可集会への参加への刑罰は多くの場合、罰金程度ですんだが、最近は抗議活動に絡む判決で禁錮刑が出ることも多い。半年以上続いたデモが次第に過激になり、反体制運動の色合いを強めたのも一因とみられる。

繁華街を埋め尽くすデモ参加者(2019年6月9日、香港)

大規模デモの発生を受け、中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は香港国家安全維持法の制定や選挙制度の見直しなどで一気に統制を強めた。同法違反容疑でこれまでに109人が逮捕された。起訴後の保釈が認められず、刑事施設に収監されたままの人も多い。中国本土と司法制度が異なる香港では異例の事態だ。

活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や香港紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏らは有罪判決を受けて服役中。活動家の羅冠聡(ネイサン・ロー)氏や前議員の郭栄鏗氏など、当局の摘発から逃れるために英国やカナダに渡る動きも相次ぐ。

香港政府は新型コロナウイルス対策を理由に5人以上の集会禁止を続け、デモを封じ込めている。今月4日の天安門事件の追悼集会も昨年に続いて禁止した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「当局は表現の自由や平和的な集会の権利を封じる口実としてコロナを利用している」と批判する。

目に見える抗議活動はほとんどなくなったものの、市民の間で政府不信は根強い。民間調査機関によると、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官の支持度(回答者が0から100の間で評価)は17年の就任直後に60を超えていたが、デモで急落し、歴代長官の中では最低水準で推移する。

こうした政府不信は政策遂行に影を落とす。香港ではコロナのワクチン接種が2月に始まったものの、接種率は約2割にとどまり、目標の7割に遠く及ばない。このままだと、一部のワクチンが使用期限を迎え、無駄になりかねないという。

ある60代の女性は「政府の言うことには従いたくない。感染状況も落ち着いており、もう少し様子を見る」と話す。香港中文大学が4~5月に実施したアンケート調査によると、未接種の人のうち今後6カ月以内に接種すると答えた人は25%にとどまった。副作用への懸念や政府の説明に自信が持てないという回答が目立つ。

香港では12月に立法会(議会)選挙、2022年3月に行政長官選挙が行われる。香港紙の調査によると、民主派の6割超が投票は無意味だと考え、白票を投じるつもりだと答えた。市民の静かな抵抗が続く可能性がある。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン