中国卸売物価、資源高で3月8.3%上昇 ウクライナ波及

【北京=川手伊織】中国国家統計局が11日発表した2022年3月の卸売物価指数(PPI)は前年同月比8.3%上昇した。ウクライナ情勢の緊迫化に伴う世界的な資源高をうけ、石油や石炭がPPIを押し上げた。前年と比べた伸び率は昨年の物価上昇の影響で2月の8.8%より鈍ったが、前月比では1.1%上昇し、2月の0.5%より拡大した。
業種別に前年同月比の伸び率をみると、石炭は54%、石油・天然ガスは47%それぞれ上がった。いずれも2月より上昇率が拡大した。一方、鉄鋼や化学原料など加工品の多くは上昇ペースが緩んだ。新型コロナウイルス禍からの経済回復で資源価格も持ち直した21年同時期の影響だ。

産業構造の川上と川中にあたる製品をまとめた生産財の上昇率は10.7%だった。一方、川下にあたる生活財の伸びは0.9%にとどまり、最終製品メーカーなどの価格転嫁は遅れている。
同時に発表した3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月を1.5%上回った。ガソリン価格が24%上がり、家計も資源高に直面している。中国人の食卓に欠かせない豚肉は出荷増などで4割下落した。
主要国の中央銀行が物価の趨勢を判断する際に重視する「食品とエネルギーを除くコア指数」の伸びは1.1%と、2月と横ばいだった。
3月に入り、新型コロナウイルスの市中感染が急速に広がった。広東省深圳市などが事実上の都市封鎖(ロックダウン)に踏み切るなど厳格な行動規制で、航空チケット代は前年同月比マイナスに転じた。観光地の入場料や宿泊代の伸びも2月より鈍った。
PPIの調査は毎月5日と20日に行うため、上海市の都市封鎖の影響は3月分に含まれていない。