中国消費者物価、11月2.3%上昇 食品高で
20年8月以来伸び

【北京=川手伊織】中国国家統計局が9日発表した2021年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.3%上昇した。20年8月以来の大きさとなった。野菜など食品が値上がりしたためだ。卸売物価指数は12.9%上がった。約26年ぶりの伸びとなった10月の13.5%と比べてやや縮小した。
CPI上昇率は9月の0.7%から2カ月で1.6ポイント高まった。必需品の値上がりが押し上げた。ガソリンなど交通燃料の上昇率が36%と拡大したほか、燃料高や新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う物流の混乱で生鮮野菜が31%上がった。

中国人の食卓に欠かせない豚肉は33%下がったが、10月(44%)より下落幅を縮めた。冬場の需要増や価格安定を目的とした政府の備蓄で前月比12%上昇した。
雇用や所得が伸び悩むなか、必需品の価格上昇は家計の購買力を奪い、消費を下押ししかねない。主要国の中央銀行が物価の趨勢を判断する際に重視する「食品とエネルギーを除くコア指数」の前年同月比上昇率は1.2%と、10月の1.3%からやや鈍った。
卸売物価指数の上昇率は5カ月ぶりに前月を下回った。10月に前年同月の2倍超に跳ね上がった石炭が11月は89%の上昇だった。鉄鋼や非鉄金属も伸びが前月より縮まった。卸売物価指数を前月比で見ると、横ばいだった。
資源高がもたらすコスト上昇圧力は少し和らいだが、最終製品をつくる川下企業のコスト転嫁は遅れ気味だ。川上と川中の製品をまとめた生産財の上昇率は17.0%だったのに対し、川下にあたる生活財は1.0%にとどまった。生活財のうち食品は1.6%上がったが、耐久消費財は0.1%の伸びにとどまった。
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