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ベトナムでドラッグストア急増 店舗数、コロナ前の8倍

ASIAトレンド

ベトナムでドラッグストアが急増している。大手3社の合計店舗数は新型コロナウイルス流行前の2019年に比べ、8倍の約2400店に達した。背景にあるのが、コロナを機に消費者の健康意識が高まったことだ。消費スタイルの変化も重なり、これまで主流だった個人商店から顧客を奪いつつある。

「いつもの価格の半分くらい。こんなに安いんですか」。首都ハノイの中心部に立地するドラッグストア大手、ロンチャウ薬局の店舗。せき止め薬を買おうと訪れた女性会社員のアインさん(35)は驚いた。

これまでは個人商店で購入していたが、多くの商品で値段が安いという。購入金額に応じてポイントもたまるため、今後も同じ店舗を利用するつもりだ。

ベトナムではこれまで、薬の購入先は「パパママストア」と呼ばれる家族経営の個人商店が一般的だった。親身な接客に強みを持つが、価格が不透明で、店主の言い値で買わざるを得ないこともあった。商品知識の乏しさに加え、ラベルを貼り替えたにせ物が混じることもあり、消費者の満足度は決して高くなかった。

一方、ドラッグストアの場合、系列店は原則的に同一価格で、他のチェーン店との競合からさらに割安になることもある。オンラインでの販売も積極的に手掛けている。

アインさんは「ドラッグストアでは価格や中身で疑心暗鬼にならずに、安心して購入できる」と話す。

現地メディアによると、同国最大手のファーマシティーは、足元の店舗数が約1100店に上る。クリス・ブランク会長兼最高経営責任者(CEO)は「人口の半分が、バイクなどで10分以内に店に着けるようにする」と強調し、25年までに国内で5000店体制を敷く方針を打ち出している。

このほか、IT(情報技術)大手FPT系のロンチャウ薬局が約700店、家電量販店大手モバイル・ワールド系のアンカン薬局が約500店をそれぞれ展開する。

外資系でも香港系のワトソンズや日系のマツモトキヨシが南部の最大都市、ホーチミン市に出店済みだ。各社とも世界的なコロナ感染拡大を受け、健康に関心を持つ消費者の取り込みを狙う。

所得水準の向上で、ベトナム人の消費スタイルが変化していることも追い風だ。生鮮品でも、購入場所は伝統的な市場から食品スーパーへと移りつつある。

現時点では医薬品や健康食品が中心のドラッグストアも、今後は日本のように、食品や化粧品、日用品がそろう「コンビニ化」が進む可能性もある。市場の潜在性は高そうだ。

(ハノイ=大西智也)

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