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フィリピン通信2社、「韓流アイドル対決」 若年層狙う 

【マニラ=志賀優一】フィリピンの携帯電話大手2社が韓流アイドルを広告塔に起用し、激しい顧客獲得競争を繰り広げている。スマート・コミュニケーションズは男性グループ「BTS(防弾少年団)」、グローブ・テレコムは女性グループ「ブラックピンク」をそれぞれ起用。若者に人気の韓流アイドルを軸に契約を取り込み、3月に通信事業に新規参入した新興企業にも対抗する構えだ。

スマートの広告塔はBTSだ(8日、マニラ)

首都マニラの大通りを通ると、スマートフォンを手にしたBTSの巨大な広告が目に飛び込んでくる。スマートのアンバサダー(大使)となったBTSを起用し、4月から始めた「スマート・プリペイド」のキャンペーンだ。

契約者は特別なウェブサイトにアクセスでき、3日間で通信容量1ギガバイトのプリペイド契約と店舗で受け取ることができるBTSの写真をセットにしたプランなどを用意する。

フィリピンの通信業界は大手2社でシェアを分け合っている。ライバル意識は強い。BTSに対抗し、グローブは20年12月から人気女性グループのブラックピンクを起用した。自宅で利用するWi-Fiモデムをブラックピンクの限定デザインで販売するほか、SNS(交流サイト)のフェイスブックで利用者向けの特別イベントを開いた。

グローブは広告塔にブラックピンクを起用する(8日、マニラ)

両社がターゲットにするのが若年層だ。人口約1億人の平均年齢が20歳代半ばであるフィリピンでは19歳以下が全人口の4割を占めるとされ、若者世代が極めて重要な市場となる。そのため、スマートのパンリリオ社長も「(BTSを起用した)このキャンペーンは将来にも長期にわたり顧客となる若年層を中心に据えている」と説明する。

フィリピンでは韓流アイドルの人気が高い。新型コロナウイルスの感染拡大前はコンサートが多く開かれていた。動画配信ではタガログ語の吹き替えや英語字幕で韓国のドラマが視聴できる。若年層から韓国のコンテンツの人気は高く、通信大手は2社とも韓流アイドルを起用して契約増につなげる戦略に出た。

同国の通信業界を寡占してきた両社の顧客獲得競争は激しい。21年3月末時点でグローブの携帯契約件数が7976万件の一方、スマートを傘下に持つPLDTは7180万件だ。

両社とも契約のほとんどがプリペイド方式のため、プリペイド契約とBTSによるキャンペーンを組み合わせるなどして若年層を狙う。

フィリピンでは国民の多くがSNSを頻繁に利用していることも2社を顧客争奪に駆り立てる。韓流アイドルをテーマにSNSでコミュニティーができたり、ネット通販や動画視聴の利用が増えたりすれば通信会社にとって大きな魅力だ。

一方、若者への販促は3月に新規参入した通信事業者ディト・テレコミュニティーへの対抗策という側面もある。中部セブや南部ミンダナオで事業を開始し、5月中旬にはマニラ首都圏などでもサービスを始めた新興勢で、大手2社を脅かす存在となりつつある。

ディトはネット通販サイトを通じたSIMカードの提供や安価な価格設定などを武器に開始約3カ月で契約者数は100万件を超えた。21年末には200万件まで増やす計画を持つ。

大手2社はこれまでになかった新規参入企業との競争時代を迎えた。若年層の契約の拡大や維持に向けた戦略で、韓流アイドルにかける期待は大きくなる。

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