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対中資金流入、1~3月期は7年ぶり高水準 米欧と金利差

新興国向け投融資拡大が容易に

人民元の先高観も資金流入を促した=ロイター

【北京=川手伊織】中国への資金流入が増加している。流出を差し引いた純流入額は1~3月期、7年ぶりの高水準だった。中国は世界に先がけて新型コロナウイルスの拡大を抑え、経済の正常化を進めており、海外との利回り差を期待した国債への投資が増えた。資金流入が定着すれば、中国は新興国などへの投融資の拡大が容易になる。

中国国家外貨管理局は毎月、銀行口座を経由した資金の流出入額を集計する。日本経済新聞社は四半期ベースの動向を調べた。帳簿上の取引でなく、企業や個人が中国の銀行口座を通じて実際に海外とやり取りした金額だ。

1~3月期は流入額が5901億ドル(約64兆円)で、遡れる2010年以降で最大となった。流出額は5016億ドルで、ここ数年おおむね横ばいだ。純流入額は885億ドル(約9兆6000億円)で、14年1~3月期以来の高水準だった。

海外とのモノやサービスの取引状況を示す1~3月の経常収支は751億ドルの黒字。帳簿上の取引も含む。中国は経常黒字をおおむね保ってきたが、14年後半から19年までは基本、銀行口座を経由した実際の資金が流出超過だった。中国景気の不透明感で通貨、人民元の先安観が強まり、対外M&A(合併・買収)が旺盛になったためだ。

元安を食い止めるため、中国人民銀行(中央銀行)は元買い・ドル売り介入を繰り返し、外貨準備が減った。当局による資本規制は企業活動の障害にもなった。

資金流入の傾向が定着すれば、中国は広域経済圏構想「一帯一路」に関連する新興国でのプロジェクトなどへの対外投融資を増やしやすくなる。

資金流入の一因は海外からの債券投資の拡大だ。香港経由で中国の債券を売買できる「債券通(ボンドコネクト)」などを利用した外国人の元建て債券の保有残高は3月末で3兆5581億元(約60兆円)に達した。過去1年間で6割近く増えた。

米欧などの主要国は20年、新型コロナ対応で金融緩和を強化した。一方、中国は経済の正常化を進めた。米中の10年物国債利回りの差が広がり、これに着目した海外の機関投資家や中央銀行が中国の債券を買う動きが広がった。

外国人投資家が持つ中国国債の比率は1月に初めて10%を超えた。米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の「出口」を探り始めたが、足元では中国国債の利回りの高さが目立つ。

英指数算出会社のFTSEラッセルは10月末、代表的な国債指数に中国国債を段階的に組み入れ始める。日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)などが使う指数で、債券投資に影響力を持つ。組み入れで約1300億ドルが中国国債に流入するとの試算もある。

貿易関連の資金流入も膨らむ。外貨管理局は「外貨から人民元への企業の両替ニーズが強まっている」と分析する。人民元の先高観が背景だ。

人民元の対ドル相場は10日、18年6月以来の元高水準の1ドル=6.41元台に達した。直近の高値だ。

外資系銀行の担当者は「欧州企業が中国からの部品を優先配分してもらうため、輸入代金を元建てで前払いしていた」と明かす。新型コロナで新興国のサプライチェーン(供給網)が混乱し、一部の部材や製品は発注が中国企業に集中した。

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