中国物価、11月上昇率1.6%に鈍化 ゼロコロナ重荷

【中国中部・安徽省黄山=川手伊織】中国国家統計局が9日発表した2022年11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比1.6%上がった。上昇率は10月の2.1%から縮まった。新型コロナウイルス封じ込めを狙うゼロコロナ政策の影響でサービス需要が落ち、価格が伸び悩んだ。食肉消費の6割を占める豚肉価格の伸びも鈍った。

食品は3.7%上昇した。このうち豚肉の上昇率は34%で、10月の52%と比べるとやや落ち着いた。ガソリンなど交通燃料は11%高まった。
食品や燃料以外の物価は伸びが鈍化した。主要国の中央銀行が物価の趨勢を判断する際に重視する「食品とエネルギーを除くコア指数」の上昇率は0.6%で、10月と同じだった。21年10月の1.3%を直近のピークに伸びは縮小傾向にある。
11月は新型コロナの感染再拡大をうけ、各地で移動制限が厳しくなった。外食や娯楽など接触型消費への打撃は大きく、サービス物価の上昇率は0.5%にとどまった。10月から0.1ポイント高まったが、低空飛行が続く。長引く景気停滞が家計の節約志向を強めてきた。
同時に発表した卸売物価指数(PPI)は前年同月比1.3%下落した。2カ月連続のマイナスで、低下幅は10月と同じだった。ゼロコロナ政策や海外経済の減速で需要が落ち込んでいる。
PPIを業種別にみると、産業構造の川上と川中にあたる製品をまとめた生産財は前年同月を2.3%下回った。鉄鋼業が19%、非鉄金属業が6%それぞれ下がった。化学原料は下落幅が拡大した。川下にあたる生活財は2.0%上昇した。