米、台湾にまた武器売却 野外通信システム
大統領選後、初の案件

【台北=中村裕】台湾の外交部(外務省)は8日、米政府から新たに軍事用の野外通信システムを総額2億8000万㌦(約290億円)で売却するとの通知を受け取ったと発表した。米大統領選前に米国から台湾への武器売却が相次ぎ決まったが、選挙後の案件としては初となる。中国の反発は必至だ。
外交部は同日、「米国は台湾の防衛ニーズを非常に重視している。台湾が防衛に必要な装備をリアルタイムで入手できるようにし、抑止力を効果的に向上させている」との声明を発表した。
米国から台湾への武器売却は、トランプ大統領が2017年に就任してから加速した。今回が在任中で11回目。今年に入ってからは6回目の案件となる。
米大統領選前の10月後半から11月初旬にかけては、軍用無人機(ドローン)やミサイルなど約2週間で計5000億円の武器売却が決まった。トランプ米政権は、対立する中国をけん制する効果などを狙い、台湾もこうした米国の姿勢を歓迎している。トランプ政権が続く間に、武器購入を急ぐ考えだ。
一方、オバマ前米大統領の時代は、2期目の4年間で台湾への武器売却の承認は1回のみにとどまり、中国への配慮が優先されたとされる。
中国は相次ぐ武器売却に対し「台湾海峡の平和、安定を深刻に損なう。断固反対する」との主張を繰り返し、武器売却の撤回を求めている。