台湾の輸出額最高に 20年、コロナで半導体需要増

【台北=中村裕】台湾の輸出が大きく伸びている。財政部(財政省)は8日、2020年の輸出額が通年で過去最高となり、19年比4.9%増の3452億㌦(約36兆円)だったと発表した。直近12月の輸出額も単月として過去最高を記録。新型コロナウイルスの影響で在宅用のデジタル機器の需要が増え、半導体の輸出が大きく伸びた。
20年は世界中でテレワークが進み、パソコンやタブレットの需要が膨らんだほか、新型iPhone12、新型の家庭用ゲーム機「Xbox」や「プレイステーション5(PS5)」も相次ぎ発売され、関連の半導体の輸出が大きく増えた。台湾の輸出全体の約35%を半導体が占めた。
輸出先を見ると、中国大陸(香港含む)向けが最も多く1514億㌦で、全体の44%を占めた。中台の政治的関係は冷え込んだが、依然として経済面での結びつきは強い。通年で過去最高の輸出額となった。米国の制裁下にある中国・華為技術(ファーウェイ)からの半導体の注文が、9月の制裁前までは大きく増え続け、輸出増に寄与した。米国向け、日本向けも、通年で過去最高となった。
台湾の輸出は足元でも好調だ。12月の輸出は、前年同月比12%増の330億㌦(約3兆4300億円)と、6カ月連続で前年実績を上回った。
財政部の蔡美娜・統計処長は8日の記者会見で「新型コロナが世界中で再び拡大したため、在宅需要が増えており、1月はさらに台湾からの輸出が拡大する。前年同月比で19~23%増になるだろう」と予測した。