IMF、スリランカ29億ドル支援承認へ 中国など支持

【ムンバイ=花田亮輔】国際通貨基金(IMF)は7日、スリランカに対する29億ドル(約3900億円)の金融支援について、20日の理事会で承認を検討すると明らかにした。スリランカの対外債務再編を巡り、中国など主な債権国の協力が確約されたためと説明した。各国との協調に基づき、スリランカ経済の立て直しを図る。
IMFは7日、スリランカが中国などを含む「全ての主要な2国間債権国」から協力の保証を得て「20日の(IMFの)理事会での承認検討に向けて道を開いた」と発表した。IMFとスリランカは2022年9月に、29億ドルの支援について実務者による暫定合意に達したと発表していた。IMFは支援の前提としてスリランカの経済改革のほか、対外債務の整理再編を求めていた。
債務再編を巡り日本やインドなどのほか、中国の方針が焦点となっていた。インド南部ベンガルールで2月下旬に開催された20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議でも、スリランカをはじめとする新興国の債務問題が議論された。
スリランカのウィクラマシンハ大統領はIMFの声明に先立ち7日の議会で、IMFからの支援が月内にも承認される見込みだと述べていた。中国側から中国輸出入銀行を通じて新たな支援の確約を得たという。
スリランカは慢性的な経常収支赤字に加え、新型コロナウイルスの発生で主要な外貨獲得手段である観光業が打撃を受けた。外貨準備が急減したところにロシアのウクライナ侵攻による国際商品市況の悪化も重なって、輸入品を中心とした物価上昇に直面した。
同国は22年5月にはデフォルト(債務不履行)状態に陥った。経済運営への不満などから国民の抗議活動が激化して、7月にはラジャパクサ大統領(当時)が辞任に追い込まれた。
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