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「サソウ選手」初快挙に沸くフィリピン

フィリピンでも笹生選手の快挙は同国初と盛り上がりを見せた(6日、米サンフランシスコ)=USAトゥデー・ロイター

【マニラ=志賀優一】女子ゴルフのメジャー、全米女子オープン選手権で6日、笹生優花(さそう・ゆうか、19)選手が優勝した。フィリピン人の母と日本人の父を持つ笹生選手は両国の国籍を持つが、地元では「フィリピン人初の快挙」と盛り上がる。人口の1割が海外で働くとされる同国では、これまでも海外のフィリピン系スポーツ選手が代表となったことがある。

「フィリピンのサソウが優勝」「フィリピン人ゴルファーが勝利」――。笹生選手が優勝すると7日朝、フィリピンの地元メディアが一斉に快挙を速報した。

フィリピンゴルフ協会もSNS(交流サイト)のフェイスブックを通じて「歴史的な快挙、おめでとう」、名前になぞらえた「『ユウカ』ン・ドゥー・イット」(ユウカならできる)とメッセージを寄せた。同国のプロボクサー、マニー・パッキャオ上院議員もツイッターに「フィリピンの偉大さを世界に見せつけた」と投稿し、祝福ムードだ。

優勝後にCNNフィリピンのインタビューに応じた笹生選手は「フィリピンから支えてくれた皆さん、テレビ越しに応援してくれたファンの方、サンフランシスコまで来てくれたフィリピンの皆さん、本当にありがとう」と述べた。英語を織り交ぜたがほとんどがタガログ語でのやりとりだった。

笹生選手は日本とフィリピンの二重国籍を持つ。フィリピン生まれで、母親がフィリピン人、父親が日本人だ。2018年のアジア大会(ジャカルタ)ではゴルフのフィリピン代表として出場し同国に金メダルをもたらすなど飛躍を遂げてきた。東京五輪でも同国代表としての活躍が期待されているという。

一方、笹生選手は日本でプロテストに合格して以降、近年は日本ツアーに相次ぎ参戦している。今回の勝利を日本では「日本勢3人目のメジャー女王」と評され、フィリピンでは「同国初」と取り上げられ方が異なる。

フィリピンではこれまでもスポーツ選手の国籍や代表を巡る話題が取り沙汰されたことがある。米プロバスケットボールリーグNBAのユタ・ジャズのフィリピン系米国人、ジョーダン・クラークソン選手がその一人だ。

バスケはフィリピンで熱狂的な人気があり、国際バスケットボール連盟(FIBA)が公表する男子チームの国・地域別ランキングで31位と日本(42位)を上回るアジアの強豪国だ。

代表チームの監督は数名のフィリピン系米国人を招へいすることでチームの強化を図った。フィリピン側の交渉の結果としてNBAなどから「一度きりの特例」が認められたことで、18年に同国代表の中心選手としてアジア大会に出場することとなった。

クラークソン選手は当時「実現させてくれたみなさまに感謝します」と喜びをかみしめていた。同選手の活躍の拠点は米国だが、今後もフィリピン代表として国際大会に出場することに意欲を示しているという。

サッカーでもフィリピン代表を経験したニール・エザリッジ選手は英国生まれだ。英プレミアリーグによるとエザリッジ選手は同リーグでプレーした最初のフィリピン人であり、東南アジア勢としても初めてという。

国籍やどの国を代表するかが話題になる背景には、外国で働くフィリピン人労働者の存在がある。フィリピンは人口1億人程度のうち1割にあたる1000万人規模が海外で働くとされ「労働力輸出国」とも言われる。

フィリピン統計庁によると、19年の国際結婚でフィリピン人男性の結婚相手は米国人が17%、オーストラリア人が14%、カナダ人が12%。一方、女性の結婚相手は米国人が27%、日本人が11%。フィリピン人の親を持つ人が北米や日本などで活躍していることに不思議はない。ただフィリピンはオリンピックの金メダルを獲得したことがなく、世界を舞台にしたスポーツ界の活躍に乏しかった。

日本でもテニスの大坂なおみ選手やバスケの八村塁選手が世界で活躍している。同様にフィリピンにルーツを持つ選手たちの国籍が話題になることは、スポーツ界で実績を積み注目も集め始めた証左とも言える。フィリピンが今後スポーツでさらに実力をつければ、二重国籍のトップクラスの選手がどちらの国を代表するかは国際大会で戦力を大きく変える要素となる。

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