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サムスン、GAFA特需再び サーバー向けDRAM活況

利益率4割超え 技術では格差縮小の影も

半導体市況は3年ぶりの好況期を迎えている(サムスン半導体工場)

韓国サムスン電子の業績回復が加速している。米IT(情報技術)大手がデータセンター投資を積み増し、半導体メモリーの需要が拡大。DRAM価格は年初比で45%上昇し、サムスンの同部門利益率は4割を超えたもよう。ただ、需要期待の過熱感や競合との技術格差の縮小などもちらつき、3~4年前のメモリー好況期ほどの高収益を得られるかは読みにくい。

サムスンが7日発表した2021年4~6月期の連結営業利益は前年同期比53%増の12兆5000億ウォン(約1兆2200億円)、売上高は19%増の63兆ウォンだった。世界的な半導体不足を背景に、半導体メモリー事業が価格高騰の恩恵を受けた。家電やテレビの販売好調も収益増につながった。

部門別業績は7月末に発表予定だが、有進投資証券の分析によると、半導体部門の営業利益は7兆ウォンと全体の56%を占めた。そのうちDRAMの営業利益は5兆4000億ウォンで、部門利益率は48%と1~3月期と比べて15ポイントも上昇した。

DRAMはデータの一時保存に使う半導体メモリーで、データセンター向けなどのサーバーやスマートフォン、パソコンなど幅広い用途に使われる。供給不足感から主要品目のDDR4型の4ギガ(ギガは10億)ビット品の価格は年初から45%高と、「異常な値上がり」(半導体商社)を見せた。

需要を先導するのは米アマゾン・ドット・コムや、米グーグルを傘下に持つ米アルファベットなど「GAFA」4社を中心とするデータセンター投資だ。東海東京調査センターによると、アマゾンの4~6月期の投資額は前年同期比67%増の125億ドル(約1兆3800億円)にのぼる。

GAFAに米マイクロソフトを加えた5社の21年の投資額は計13兆円を超える。サーバーの構成部品であるCPU(中央演算処理装置)やメモリーなど幅広い半導体需要の底上げにつながる。特にDRAMで4割のシェアを握る世界首位のサムスンは、最先端品を先行して量産・供給しており恩恵が大きい。

需要増が続く半面、供給量は思うように増えていないのが実態だ。

DRAM市場はサムスンと韓国SKハイニックス、米マイクロン・テクノロジーの3社でシェア95%を握る寡占状態。闇雲な増産を各社が控える傾向にある。

さらに半導体進化の指標だった「ムーアの法則」の限界を迎えて技術的な難易度が高まるなか、最先端DRAMは「EUV(極端紫外線)露光」と呼ぶ最新製法への移行期を迎えている。生産技術の端境期のために供給量が伸びにくく、結果的に価格が上昇しやすい構図となっている。

6月30日に3~5月期決算を発表したマイクロンの営業利益は前年同期比2.4倍と躍進した。SKハイニックスも4~6月期は大幅増益の見通しで、3社ともに高収益を享受する。

一方で、DRAMと並ぶ主要メモリーのNAND型フラッシュメモリーは、日本のキオクシアや米ウエスタンデジタル含め大手6社の競争が激しい。サムスンのNAND事業の利益率は21%とDRAM(48%)に比べて見劣りする。

足元のDRAM好況は当面続くとの見方が大勢だ。米調査会社のICインサイツは6月、21年のDRAM市場は前年比41%成長するとの予測を発表。「在庫水準は依然低く、供給過剰に陥る可能性は低い」(韓国のハンファ投資証券)との声も上がる。

ただ「スーパーサイクル」と呼ばれた17~18年水準の好況期が再来するかは意見が割れる。有進証券の李承禹(イ・スンウ)チーフアナリストは当面の需給について「データセンター事業者が先端DRAMを奪い合った3~4年前ほどの状況ではない」と分析する。

19年はデータセンター向けを中心に在庫が積み上がり、DRAM市況が下落に転じた苦い記憶がある。同じ事象が起これば、サムスンの収益にとってもリスクとなる。

下位メーカーのマイクロンの追い上げも見逃せない。同社は回路線幅が15ナノ(ナノは10億分の1)メートルの最先端DRAMの量産技術を高め、サムスンのシェアを奪いにかかる。業界関係者によると、東芝やSKハイニックスから日本人や韓国人技術者を多数採用している。マイクロンの3~5月期の営業利益率(非GAAPベース)は31.9%と、サムスン半導体部門と肩を並べる水準だ。

サムスンはメモリーで稼いだ資金をもとに、受託生産分野で世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)に真っ向勝負を挑んでいる最中。収益基盤を揺るがしかねないDRAM市場の環境変化が、サムスンにとって落とし穴となる可能性もある。

(ソウル=細川幸太郎、東京=松本桃香)

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