アリババ創業者マー氏、アントの支配株主から外れる

【上海=土居倫之】中国の金融会社アント・グループは7日、アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が実質支配株主でなくなったと発表した。馬氏は関連会社を通じてアントの株式を保有し、同社の経営の支配権を持っていた。アントは新規株式公開(IPO)手続き再開に向け、企業統治(コーポレートガバナンス)体制を整える狙いがある。
アントは中国のスマホ決済、支付宝(アリペイ)などを運営する金融会社で、2020年11月に予定していたIPOが直前で延期に追い込まれた。その後、当局の指導に対応し、企業統治体制などの整備に取り組んできた。今回の資本関係の整理で、議決権を分散させ、透明性を高める。
当局の指導を受けて、アリババとアントは経営の切り離しを進めていた。22年7月には、アリババの支配権を実質的に握る「パートナー」と呼ばれる統治機構から、アントの井賢棟・董事長兼最高経営責任者(CEO)など複数のアント幹部の退任を発表していた。
22年末には、個人向け融資などを手掛けるアントの消費者金融子会社の増資について金融監督当局から認可を得た。アントが本社を置く浙江省杭州市の政府系企業が第2位株主となるほか、車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)などが株主となる。外部株主を招き入れ、経営の透明性を高める。