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中国の戦闘機16機、台湾防空圏に侵入 欧州接近に反発か

【台北=中村裕】台湾の国防部(国防省)は6日、中国の戦闘機16機が防空識別圏(ADIZ)に大量侵入したと発表した。戦闘機「殲16」が10機、同「殲10」が6機、それぞれ侵入した。欧州と台湾が最近、急接近をみせ関係強化を進めていることに、中国が強く反発したものとみられる。

台湾のADIZに10機以上の中国軍機が侵入するのは、約1カ月ぶり。10月4日に過去最多の56機が侵入して以来となる。最近は1日当たり、数機程度の侵入にとどまっていたが、久々の大量侵入となった。

背景には、欧州と台湾の関係強化の動きがあるとみられる。台湾の呉釗燮・外交部長(外相)は10月後半から約2年半ぶりに欧州に向けて出発し、スロバキア、チェコ、ベルギーを訪問して高官交流を果たした。

一方、欧州連合(EU)も欧州議会の代表団が初めて公式に台湾を訪問し、4日には蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。

代表団を率いたフランス選出の欧州議員、ラファエル・グリュックスマン氏は会談で「(中国からの圧力を受け続ける)台湾は孤独ではない。欧州は自由、法による支配、人間の尊厳を守るために台湾に寄り添い、立ち上がる」と述べるなど、台湾との関係強化の姿勢を鮮明にした。

こうした動きに中国政府は強く反発した。5日には「台湾独立」勢力との理由で、台湾の蘇貞昌行政院長(首相)、游錫堃立法院長(国会議長)、呉外交部長の3人を名指しし、入国禁止などの制裁措置を取ると発表した。そのうえで、中国で台湾政策を担う国務院(政府)台湾事務弁公室は、報道官談話で「台湾の独立分子は外部勢力と結託して国家を分裂させ、両岸(中台)関係を深刻に破壊している」と非難した。

これに対し、台湾側も即座に反論した。対中国政策を担う大陸委員会は5日、「権威主義的な恫喝(どうかつ)は受け入れない。もし(中国が)我々の民主と自由を破壊し、対立や不安を作りだそうとするなら、我々は必要な対抗措置を取る」と反発姿勢をみせていた。

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