オーストラリア、原子力潜水艦の基地建設へ 首相表明

【シドニー=松本史】オーストラリアのモリソン首相は7日、豪東部に原子力潜水艦の基地を新たに建設する計画を明らかにした。費用は100億豪ドル(約8500億円)を超える見通しだ。インド太平洋地域での中国抑止を念頭に防衛能力の向上を進める。
豪シンクタンクで行ったオンライン講演で表明した。モリソン氏は基地の候補地として豪第3の都市ブリスベンや石炭の積み出し港があるニューカッスルなど3カ所を挙げた。米英の原潜の寄港も想定する。2023年末までに調査を終え、その後建設地を決定する。
豪州が現在運用する通常動力型の潜水艦は、インド洋に面した豪西部の基地を利用する。東部に計画する基地は「既存基地の移転ではなく、(新たな)能力の増強」(モリソン氏)になる。豪州での主要な軍事基地の建設は1990年代以降初めてという。
モリソン氏は講演でロシアによるウクライナ侵攻について「強権的な体制が威嚇と暴力を通じて現状に挑戦しようとしている」と批判、豪州の安全保障について「80年間で最も困難で危険な環境」と述べた。
豪州は21年、米英と安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」を立ち上げ、両国の協力を得て少なくとも8隻の原潜を建造することを決めた。現時点では30年代後半の配備を見込んでいる。