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国際社会、足並みにずれ 対ミャンマー 米は制裁示唆

タイの首都バンコクの国連施設前でミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問の解放を求める女性(6日、バンコク)=ロイター

【ジャカルタ=地曳航也】ミャンマー国軍によるクーデターから1週間がたち、国際社会の足並みのずれが目立ち始めた。米欧は民主主義の回復を求めて制裁を辞さない構えを見せる一方、中国は静観している。地政学上の要衝であるミャンマーをめぐるパワーバランスが絡み、一致した対応を難しくさせている。

バイデン米大統領は4日の初の外交演説で民主主義を守るためリーダーシップを発揮することを強調した。ミャンマーのクーデターに触れ「国軍は権力を放棄し、拘束している活動家や政府高官を解放すべきだ」と述べた。「民主主義と法の支配の回復を支援するため、パートナーと協力していく」と制裁も示唆した。

欧州も米国と歩調を合わせる。欧州連合(EU)のミシェル大統領は1日、「クーデターを強く非難する。違法に拘束された人を全て解放することを軍に求める」と訴えた。フォンデアライエン欧州委員長もツイッターで「憲法と(2020年)11月の選挙に従って、正統な文民政権を回復しなければならない」と強調した。

ミャンマーへの影響力が大きい中国は静観する。ブリンケン米国務長官は5日、中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員と電話し、ミャンマーをめぐり国際社会の非難の輪に加わるよう求めた。楊氏は「国際社会は適切な解決のため良好な環境を整えるべきだ」と国軍への非難を避けた。

国際社会が対ミャンマーで足並みのずれを露呈させたのが国連安全保障理事会の声明だ。4日に発表した報道声明では「深い懸念を表明する」とし、国軍を直接非難する文言を盛り込まなかった。

ミャンマーは中国南部の内陸からインド洋に抜ける地政学上、重要な国で、日本が米豪印などと進める「自由で開かれたインド太平洋」を実現するうえでも、協力は欠かせない。中国にとってもミャンマーは広域経済圏構想「一帯一路」の要衝だ。

政府開発援助(ODA)でミャンマーを支援してきた日本は米欧の強硬一辺倒の姿勢とは一線を画し、国軍との対話ルートを確保する方針だ。国軍を追い込み、国際的に孤立させると、中国の影響力が一層強まると警戒する。ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害問題をめぐっても独自外交を展開してきた。

ミャンマーが加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)内でも意見が分かれる。インドネシアやシンガポールなどが懸念を示す一方、タイやカンボジアはASEANの内政不干渉の立場から静観する。まとまりに欠けば、組織の弱体化にもつながりかねず、インドネシアのジョコ大統領とマレーシアのムヒディン首相は5日の首脳会談でASEAN特別外相会議の開催を提唱した。

米国は事態の打開にはASEANの協力が不可欠とみて働きかけを強める。サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は3日、ASEAN加盟国の駐米大使に電話し「ミャンマーの民主主義の早期回復には地域の支援が重要だ」と訴えた。米国がASEANへの関与を強める立場も伝えた。

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ミャンマー国軍は2021年2月1日、全土に非常事態を宣言し、国家の全権を掌握したと表明しました。 アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる政権を転覆したクーデター。なぜ起きたのでしょうか。 最新ニュースはこちら。

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