マレーシア中銀、金利1.75%に据え置き

【シンガポール=中野貴司】マレーシア中央銀行は6日の金融政策委員会で、政策金利を過去最低の年率1.75%のまま据え置くと決めた。据え置きは20年9月の会合以降、5回連続。マレーシアでは新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているものの、中銀は経済への影響は現時点で深刻ではないとして、利下げには踏み切らなかった。

中銀は会合後の声明で「世界的な需要の回復や公的部門の支出増加によって、国内経済の改善が続く見通しだ」と指摘した。新型コロナのワクチン接種の進展が今後、消費者心理の改善を後押しする一方で、コア物価上昇率は21年を通じて低水準にとどまるとして、金融政策を変更する必要はないと判断した。
足元では新型コロナの新規感染者数が増加傾向にあり、政府は首都クアラルンプールや周辺地域で厳格な行動制限を再導入することを決めた。ただ、中銀は「ほぼ全ての業種で依然操業が認められており、経済活動への影響はそれほど深刻ではない」との認識を示した。
英調査会社キャピタル・エコノミクスのアレックス・ホルムズ氏は「中銀の6日の据え置き決定によって、追加緩和が当面ないとの見通しが強まった。一方で景気回復のペースは鈍いため、22年末まで現行の1.75%の政策金利が続く」と予測する。