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在韓米軍の戦力強化を協議 韓国次期政権の訪米特使団

【ソウル=甲原潤之介】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)次期大統領が米国に派遣した特使団は5日、ホワイトハウスでサリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談した。北朝鮮の活発な核・ミサイル開発の動きを踏まえ、在韓米軍の防衛力強化について協議した。戦略爆撃機の展開など核戦力を用いた抑止も議題になったもようだ。

特使団の団長を務める朴振(パク・ジン)議員は会談後、記者団に「北朝鮮の核とミサイル開発が朝鮮半島や地域の安全保障に対する脅威だという認識を共有した」と語った。「韓米の防衛力が非常に重要だという話をした」とも述べた。

記者団に核を含む戦略兵器に関する言及があったかを問われ「協議する過程で自然に出てきた。戦略資産の展開は(核兵器を使った抑止策である)拡大抑止を強化するうえで重要な要素だという次元で議論した」と明らかにした。聯合ニュースが伝えた。

特使団はバイデン米大統領に宛てた尹氏の親書をサリバン氏に渡した。オースティン米国防長官とも会談し、防衛力を強化していくことで一致した。

戦略兵器とは通常の兵器と異なり、相手国の生活基盤や産業に重大な影響を与えうる大量破壊兵器を指す。核兵器を運搬するのに用いる戦略爆撃機や空母、原子力潜水艦などが含まれる。想定する軍事展開の中身について朴氏は具体的な言及を避けた。

米軍はグアムに戦略爆撃機を展開する。日本の横須賀基地(神奈川県)を拠点とする第7艦隊は原子力空母を運用する。こうした兵器や米本土に配備する大陸間弾道ミサイル(ICBM)を用いて、核兵器による攻撃を抑止している。日本や韓国は「核の傘」と呼んでいる。

米爆撃機が韓国に一時展開した例は過去にもある。北朝鮮が核実験やミサイル発射を繰り返していた2017年8月、米軍はグアムの基地から戦略爆撃機を朝鮮半島に展開し、北朝鮮に圧力をかけた。この時は韓国空軍、日本の航空自衛隊それぞれと戦闘機を使った共同訓練を実施した。

同年10月には米軍の空母や原潜を朝鮮半島沖に集結させ、韓国海軍と合同演習をした。米朝の非核化協議が始まった18年以降、米軍は戦略兵器の展開を控えている。

今回、韓国に米軍の爆撃機などが展開されれば、米韓同盟の軍事協力の水準が再び高まることになる。文在寅(ムン・ジェイン)政権が進めてきた「自主国防」の路線を修正し、米国との同盟を重視する尹氏の安保政策の目玉になる。

韓国メディアによると、特使団は3日からの米国訪問で北朝鮮の完全で検証可能かつ不可逆的な非核化(CVID)を目指す姿勢を米側に伝えている。「朝鮮半島の非核化」を掲げ、米軍の戦略兵器を韓国に展開しないことで北朝鮮との融和を重視した文氏との路線の違いが鮮明だ。

保守系の重鎮議員である朴氏をはじめ、特使団の7人のメンバーには米国との同盟重視派がそろう。趙太庸(チョ・テヨン)氏は保守の朴槿恵(パク・クネ)政権時に外務第1次官を務めた。それぞれ新政権の外交・安保の要職に就くと目されている。

4月中旬には米韓合同軍事演習が予定される。韓国が米国に近づくことで北朝鮮との緊張は今後さらに高まる可能性がある。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹で朝鮮労働党副部長の金与正(キム・ヨジョン)氏は5日発表の談話で核攻撃をちらつかせて韓国を威嚇した。「南朝鮮(韓国)が軍事的対決を選択するなら、我々の核戦力は任務を遂行する」とした。

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