/

北朝鮮、大規模工場が稼働停止 物資不足響く

韓国貿易協会が報告書

【ソウル=恩地洋介】北朝鮮屈指の大規模な肥料工場が最近、物資不足で稼働を停止したことが韓国貿易協会の報告書で分かった。指導部は新型コロナウイルスの流入を防ごうと中国との境界を封鎖しており、プラントの部品を輸入できずにいるという。中朝貿易の断絶は、北朝鮮経済に深刻な打撃を与えている可能性が高い。

昨年の中朝貿易は8割減った。写真は中国側から見た中朝友誼橋=共同

稼働が止まったのは平安南道安州市で化学肥料や石油化学製品を生産する「南興青年化学連合企業所」。平壌北方の炭鉱地帯にあり、採掘した無煙炭を原料にした石炭ガス化のプラントがある。

韓国貿易協会が1月に平安南道から得た資料によると、このプラントで高圧バルブや高圧噴射機が摩耗して使えなくなった。替えの部品が手に入らず、稼働の見通しが立たないという。

2013年には金正恩(キム・ジョンウン)総書記が同工場を視察している。北朝鮮の農業は生産性の低さが課題で、金正恩氏は昨年も別の肥料工場の完工式に出席したり、党の会議で肥料の増産を指示したりしている。経済制裁で石油が不足するなか、石炭ガス化は産業用エネルギーとしての利用価値も高い。

金正恩体制下で活性化した「ジャンマダン」と呼ばれる市場でも物品が少なくなった。平壌近郊の平城にある市場では、小麦粉や食用油の取り扱いが半減した。中国産の衣料や電気製品を並べていた小売商が店をたたむ事例も増えているという。

ジャンマダンの不況によって、地方当局の歳入も減った。平安南道の例だと、20年第4四半期の市場管理収入が前年同期の半分程度にとどまり、報告書は「地域の予算執行に相当な衝撃を与えた」と分析した。

中国税関総署の統計によると、20年の中朝貿易総額は前年比8割減の5億4千万ドル(約560億円)だった。

北朝鮮指導部は中国で新型コロナの感染者が増えた20年1月に、中国との境界を完全に封鎖した。貿易は夏に一時的に増加したものの、10月以降は朝鮮労働党創建75年を祝う行事や年明けの党大会に備えるため再び減った。

中朝境界を警備する北朝鮮兵士=共同

北朝鮮経済は昨年来、制裁と新型コロナの影響に加え、夏には穀倉地帯を水害が襲い「三重苦」に陥っている。

金正恩氏は1月の党大会で経済目標の未達を認め、「自力更生」と「自給自足」をうたう新たな経済発展5カ年計画を示した。制裁で輸出が禁じられている鉱物資源を活用し、エネルギーや資材の自力調達を進めている。

春割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で申し込むログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で申し込むログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で申し込むログイン