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欧州、台湾と関係強化 フランス議員団が蔡総統と会談

【台北=中村裕】欧州が台湾との距離を急速に縮め始めている。フランスの上院議員団は7日、中国の反発を押し切り、台湾で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した。英国も米国と歩調を合わせ、空母を台湾周辺に派遣し、軍事演習を繰り返して中国をけん制するなど、積極関与の姿勢を鮮明にしている。

会談は台北市内の総統府で開かれ、蔡氏とアラン・リシャール元国防相ら仏議員団が経済協力などで意見を交わした。リシャール氏の訪台は2018年に続き3度目。蔡氏は「(中国の)圧力を恐れない訪問に感動した」と歓迎した。

リシャール氏は「台湾はハイテク、医療など多分野で国際社会に貢献している。これが台湾を支持する理由だ」と語った。蔡氏も「今後、緊密な関係を築き、仏政財界から多くの訪問を歓迎する」と応じ、欧州との関係強化に意欲をみせた。

リシャール氏は台湾との関係が深い。5月には台湾の国際機関への積極的な参加を後押しする決議案を上院に提出し、可決させた。中国は台湾のいかなる国際機関への参加も「一つの中国」に反するとして強く非難しており、リシャール氏の訪台は中国が特に警戒する中での出来事だった。

もっとも、欧州の台湾への関与は、先進国の中では出遅れていた。日米は4月、共同声明で「台湾」を明記し、台湾への関与の姿勢を鮮明にした。中国と対立するオーストラリアやカナダも、特に昨年から台湾との関係を重視する立場に回った。欧州連合(EU)は9月、台湾との経済連携を強化するインド太平洋戦略の発表にようやくこぎ着けたばかりだ。

米国は9月、英豪とともに中国対抗を念頭にした安全保障協力の新たな国際的な枠組み「AUKUS(オーカス)」の創設を公表した。日米豪印が連携する「Quad」(クアッド)の枠組みともあわせ、国際的な連携による包囲網で、今後さらに中国に対抗する絵を描く。

蔡氏は7日、訪台中のオーストラリアのアボット元首相とも会談。アボット氏は、台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加盟を支持しており、「今回の訪台は、国際社会の中で長年孤立してきた台湾を手助けするために来た」と明言した。

EUを離脱した英国も5月、空母打撃群をインド太平洋に向けて出発させ、9月には日本に寄港。10月2~3日には沖縄南西海域(台湾北東部)で、日米やカナダ、ニュージーランドなど6カ国による空母を使った合同演習を行った。こうした動きが中国の強い反発を呼び、最近の中国軍機による台湾への防空識別圏への大量侵入につながった。

今後EUが台湾に関して米英などにどこまで歩調を合わせるのか。インド太平洋に領土を持つフランスやバルト3国は積極関与の姿勢をみせるが、特に中国経済との結びつきが強いドイツは「中国への配慮から今でも先進国の中で台湾との距離が最も遠い」(台湾の外交専門家)。

蔡総統は5日、米外交専門誌のフォーリン・アフェアーズ(電子版)に寄稿し「台湾がもし(中国の手に)陥落すれば、地域の平和と民主国家の連携体制に災いをもたらす」と危機感を示し、国際社会に支持を求めた。

中国は現在、米国との対話に歩み寄りもみせる。だが、中国と台湾は一つの国に属するという「一つの中国」の原則を決して譲らない。米中交渉も難航は必至だ。

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