TSMC、最先端半導体も米国生産 投資3倍の5.5兆円に
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【台北=龍元秀明】半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)は6日、米西部アリゾナ州に最先端半導体の工場を新設すると発表した。「3ナノ(ナノは10億分の1)メートル品」と呼ぶ製品を生産し、米国での総投資額を従来計画比3倍超の400億ドル(約5兆5000億円)に拡大する。
台湾有事などのリスクを念頭に、半導体を安定調達したい米国の要請に応え、生産拠点を分散する。
先端半導体はスマートフォンやサーバーに搭載され、頭脳の役割を果たす。特に最先端の3ナノ品は現在、世界でもまだ量産レベルになく、TSMCはまず台湾で2022年中の量産を予定している。米国の新工場はそれに続く形で、26年の量産開始を目指す。
経営トップの劉徳音・董事長は6日「米国のパートナーとともに、半導体の技術革新に貢献できることをうれしく思う」とコメントした。
TSMCは先端半導体の生産で世界シェア9割を占め、これまで全量を台湾で生産してきた。仮に台湾有事などで供給が途絶えれば、関連産業に広く打撃が及ぶことになる。
米国は中国への対抗を念頭に、台湾や日本などの主要国・地域と先端半導体での国際連携を進めている。8月には半導体の国内生産強化に向けて総額527億ドルの補助金を投じる新法を成立させた。TSMCの投資拡大はこの流れを受けたものとなる。
バイデン米大統領やTSMC幹部らは現地時間の6日午後(日本時間7日朝)、工場建設予定地の視察を予定する。TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏や、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)も参加する見通しだ。]