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英の免許取り消しに反発、中国外務省

関係悪化、止まらず

 香港政府の林鄭月娥行政長官(画面右、中央)からテレビ会議方式で定例報告を受ける中国の習近平国家主席(左)=1月27日、北京(新華社=共同)

【北京=羽田野主】英当局は4日、中国国際テレビ(CGTN)の番組の最終的な編集権を共産党が握っているとして、放送免許を取り消したと発表した。これに対して中国外務省は5日反発した。中国が香港への統制を強めたことをきっかけに両国の関係悪化に歯止めがかからない状況だ。

中国外務省の汪文斌副報道局長は5日の記者会見で「英当局は偏見に基づいて政治的な理由でCGTNに打撃を与えた。断固反対する」と述べた。英政府の対応に問題があると指摘した。

中国外務省は4日にも英BBC放送が新型コロナウイルスに関して虚偽の報道をしたと非難する声明を発表していた。

英国は2015年、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に先進7か国(G7)で最初に参加を決めた。中英の「黄金時代」とまで言われた蜜月関係が転換したのは2020年に習近平(シー・ジンピン)指導部が香港国家安全維持法を制定した影響が大きい。

英政府は同法に反発し、中国返還前に生まれた香港市民が持つ「英国海外市民(BNO)旅券」の保持者とその家族に英市民権取得につながる特別ビザを発行する。英政府によると、香港の人口の4割弱にあたる約290万人がBNOの資格を持っている。

中国外務省は「中国の主権を侵害し内政に干渉している」と英政府に猛反発した。「さらなる措置をとる権利も留保する」として、対抗措置をとる構えをみせている。

中英の関係悪化は安全保障分野にも波及している。

英政府は3日、日本政府と外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)をテレビ会議方式で開いた。英国がインド太平洋地域に空母を派遣する際、自衛隊と共同訓練すると一致した。中国の海洋進出をにらんだもので、東シナ海・南シナ海情勢を巡り一方的な現状変更の試みに反対すると申し合わせた。

英国の「中国離れ」はほかの欧州主要国にも影響を与えかねない情勢だ。ドイツは独海軍に所属するフリゲート艦を日本に送る検討を進め、フランスもインド太平洋地域に積極的に艦艇を派遣している。

ミャンマー情勢を巡っても中英は対立を深めている。ミャンマーの旧宗主国である英国のジョンソン首相は「クーデターと、文民の不法な拘束を非難する」とツイッターに投稿した。ミャンマーとの関係を深めてきた習指導部は米英などの「介入」を警戒している。

習指導部内には英国とのさらなる関係悪化を懸念する意見もあるようだ。

中国共産党の機関紙、人民日報は5日付の1面で李克強(リー・クォーチャン)首相が中英関係に深く関わってきた英企業家らにオンラインでメッセージを送ったと伝えた。企業家らを「氷を砕いた者」とたたえ「中国はこれまでと少しも変わらず英国との関係発展を重視している」と秋波を送っている。

トランプ前政権時代に米中は国交を樹立して以来、最悪とまでいわれるほど関係が悪くなった。バイデン米政権の出方も読めない状況で、英国や欧州はできるだけ近づけておきたいのが習指導部の本音だ。

ただ、香港やウイグル問題は中国が最重視する「核心的利益」と位置づけてきただけに、習指導部も柔軟に対応するのが難しくなっているとみられる。

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