シンガポールの新聞大手SPH、不動産好調で黒字回復
メディアは引き続き赤字

【シンガポール=谷繭子】シンガポールの新聞最大手、シンガポール・プレス・ホールディングスが発表した2021年8月期決算は、最終損益が9290万シンガポールドル(約76億円)の黒字と、8360万シンガポールドルの赤字だった前の期から回復した。不動産部門が堅調だったものの、メディア事業は低迷が続いた。メディア事業は年内に切り離す事業再編を進める。
売上高は前の期比2.4%増の4億7500万シンガポールドル。「非継続事業」に区分したメディア部門からは1億2830万シンガポールドルの損失を計上した。同部門の営業損失1300万シンガポールドルに加え、印刷工場など再編で切り離す資産の減損損失を計上したためで、部門別損失額は前の期の10倍超となった。
不動産部門は、前の期に新型コロナウイルスの影響で計上した減損損失がなかったことやオーストラリアのモールの貢献で回復した。
メディア部門の切り離し計画は9月に株主の97.5%の賛成で可決した。12月末までに政府傘下の非営利企業として再出発する。残る不動産事業は政府系複合企業のケッペル・コーポレーションが22億シンガポールドルで買収を提案しており、11月にSPHの臨時株主総会にかける。実現すればSPHはシンガポール取引所の上場を廃止する。