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香港、経済も中国本土と融合 深圳の隣接地開発を計画

【香港=木原雄士】香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は6日、施政方針演説にあたる施政報告で、中国本土と結ぶ鉄道整備や広東省深圳市に隣接する北部地区の大規模な開発計画を打ち出した。香港国家安全維持法(国安法)によって政治面の安定を取り戻したとして、経済でも中国本土との融合を加速させる。

林鄭氏は立法会(議会)での演説で「中央政府の支援を活用することによってのみ、香港は強みを発揮できる」と主張し「国家開発への統合」を連呼した。

計画では深圳に隣接する新界北と呼ばれる300平方キロメートルに及ぶ地域で住宅開発や産業誘致をすすめ、本土に乗り入れる鉄道も新たに3本つくる。林鄭氏は「香港を中国全体の開発に統合していく」と述べ、広東省と香港、マカオを巨大な経済圏として一体開発する中国の「大湾区構想」に全面協力する考えを示した。

背景には「一国二制度」の変質がある。中国は2019年の大規模デモを踏まえ、国安法の施行など政治的な締め付けを強めた。経済でも香港を取り込み、反中的な勢力を生んだ素地を一掃するねらいだ。

林鄭氏は「巨大な本土市場があるにもかかわらず、反中的な政治勢力が邪魔をして恩恵を十分に受けられなかった」と不満を漏らした。政治や社会から民主派を排除して、本土との融合に突き進む。政治面では「国家安全条例」の制定や、学校やメディアの監督強化、国家安全教育を推進する考えを示した。

国家安全条例は香港基本法が制定を義務付けているが、香港市民の反対で実現していない。国安法が取り締まる国家分裂や政権転覆に加えて、国家機密の窃取なども違法となる。外国情報機関のスパイ活動などを取り締まる狙いがあるとみられる。

香港の若者の間では、本土との融合に後ろ向きな声も多い。シンクタンクの調査では、大湾区での就業に関心がある若者は13%にとどまった。本土ではインターネットの検閲など、香港と異なる点も多い。

施政報告は年に1度、行政長官が政策の基本方針を示す。17年に就任した林鄭氏は5年の任期中で今回が最後の演説となった。時間がかかる政府機構の再編などに言及したが、次期長官選挙に出馬するかどうかは明らかにしなかった。

香港の行政長官は業界代表などが選ぶ間接選挙だ。中国が今年、選挙制度を大幅に見直し、選挙委員から民主派を排除した。事実上、中国政府が大きな力を持つ仕組みだ。林鄭氏以外には、経済畑の陳茂波(ポール・チャン)財政官などが候補に取り沙汰されている。

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