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中国の銀行、対外短期債務減少 恒大問題で調達に苦慮か

【北京=川手伊織】中国の商業銀行などが2021年9月末、海外からの債務を減らしていたことが分かった。6月末からの減少率は6%と、5年半ぶりの大きさとなった。不動産大手、中国恒大集団の債務不履行(デフォルト)リスクが高まったことで、中国の金融機関が短期マネーの調達に苦慮していたとの見方が出ている。

中国国家外貨管理局が四半期ごとに対外債務の動向を示す「全口径外債」をまとめている。21年12月末に発表した9月末のデータによると、全体の4割超を占める商業銀行など「その他預金受け入れ会社」の残高は1兆1855億ドル(約135兆円)だった。

前期を下回るのは19年12月末以来だ。減少率は「チャイナ・ショック」と呼ぶ中国経済の減速で資金流出が続いていた16年3月末以来の大きさとなった。

商業銀行などの内訳をみると、現預金や期間が短い貸し出しなど短期資金が8%減った。大和総研の斎藤尚登主席研究員は「昨年9月にかけて一時的にせよ、恒大問題が金融危機の引き金になり得るとさえ言われた。中国の商業銀行などの資金調達がままならなかった可能性は高い」と分析する。

期日を迎えた短期マネーは返済したが、外国からの新たな調達が滞り、債務残高が減少したという構図だ。

昨夏は資源高も重なり中国経済の減速が鮮明になった。中国人民銀行(中央銀行)は7月に市中銀行から強制的に預かるお金の比率を示す預金準備率を引き下げた。こうしたマクロ経済の環境変化が資金の流れに影響を及ぼしたとの指摘もあった。

人民銀や政府部門も含めた中国全体でみた9月末の対外債務残高は2兆6965億ドルだった。前期比0.6%増とわずかに増加した。

主因は国際通貨基金(IMF)が21年8月、主要通貨に連動する準備資産である特別引き出し権(SDR)の新規配分に踏み切ったことだ。発展途上国の外貨確保を支援する狙いで、6500億ドルを配った。

SDRは危機時などにドルやユーロを引き出せる権利で、人民元も含まれる。新たなSDRを得たことで、人民銀の対外債務が増えた。人民銀の分を除けば、9月末の対外債務は16年3月末以来の減少となった。

短期資金の借り入れが減ったが、金融市場全体への影響は限定的とみられる。長期的な債券投資は堅調だ。香港経由で中国の債券を売買できる「債券通(ボンドコネクト)」などを利用した外国人の元建て債券は21年末時点で、4兆元(約72兆円)を超え、1年で23%増えた。

貿易黒字も続いており、外国為替市場では人民元高の傾向で推移している。「金融市場では恒大問題への懸念が弱まっており、堅調な債券投資や貿易黒字が資本フローや人民元相場により大きな影響を与えるようになっている」と指摘する金融市場関係者もいる。

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