「上海警察から10億人のデータ流出」とハッカー主張

【北京=羽田野主】中国で10億人の氏名や生年月日、病歴などを記した個人情報を入手したとハッカーが主張し、波紋を広げている。中国では関連情報の検索ができなくなった。SNS(交流サイト)では市民らの懸念が広がる。習近平(シー・ジンピン)国家主席が共産党トップとして3選を目指す2022年秋の党大会を前に波乱の芽になりかねない。
発端は6月30日、「ChinaDan」と名のるハッカーが、インターネット上のハッカーフォーラム「Breach Forums」に「上海国家警察のデータベースが流出した」と書き込んだことだ。
このハッカーは、流出したデータが10億人の氏名、住所、出生地、身分証と携帯電話の番号、過去の犯罪歴などを含むと主張。サンプルと称し、75万件の個人情報などとみられるデータを載せたファイルを公開した。
さらに「データを20万㌦(約2700万円)で販売している」とコメント。暗号資産(仮想通貨)の一つ、ビットコインでの支払いを求めている。
香港紙、星島日報は4日付の記事で「事実であれば、過去最大規模のデータ流出となる」と指摘した。中国外務省の趙立堅副報道局長は4日の記者会見で事実関係を問われ「把握していない。コメントは控える」と答えた。
中国のSNSでは詐欺被害を警戒する投稿が目だつ。当局は中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」における「データ漏洩」というハッシュタグを禁止した。
習指導部はこれまで、インターネット安全法(サイバーセキュリティー法)や個人情報保護法を設け、情報統制を強めていた。このハッカーの主張が事実ならば、上海市当局や関連するIT(情報技術)企業などの責任が問われる事態もありうる。