元徴用工「財団肩代わり」最終調整 韓国政府、12日説明

【ソウル=恩地洋介】韓国外務省は4日、元徴用工問題の解決策を議論する公開討論会を12日に開催すると発表した。韓国政府はこの場で、日本企業の賠償を財団が肩代わりする解決案を説明する。原告側を含む出席者の意見も踏まえ、日本政府との最終調整に入る構えだ。
討論会は韓国外務省と国会議員でつくる韓日議員連盟が主催する。韓国政府が検討してきた解決案を、国民に向けて初めて説明する場となる。関係者によると、専門家や原告側の支援団体や弁護士も参加する。
韓国政府が検討するのは、過去に設置した公益法人の「日帝強制動員被害者支援財団」を活用する案だ。財団には韓国鉄鋼大手ポスコが拠出した資金がある。韓国企業からさらに寄付を募り、日本企業との債務引き受け契約などの手続きをとったうえで、原告に賠償を通知する。
原告側は日本企業の謝罪や資金拠出がないことから、同案に反対している。韓国政府は日本側の自発的な寄付や謝罪を前提とはせず、「誠意ある呼応」を求める立場だ。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は懸案を速やかに解決し、日韓関係を正常化させたい意向を重ねて表明している。
尹氏は2022年11月に岸田文雄首相と会談、12月には訪韓した公明党の山口那津男代表と会い、早期解決をめざす方針を確認した。