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スリランカ、経済危機で政権瀬戸際 閣僚一斉辞任

【ムンバイ=花田亮輔】スリランカのラジャパクサ政権が、経済危機で瀬戸際に立っている。大統領と首相を除く大半の閣僚の辞任が決まった。同国では新型コロナウイルスで観光業が打撃を受け、外貨不足が深刻になっている。燃料や食料など生活必需品の輸入が滞って国民の不満が高まり、非常事態宣言も発令された。混乱が続くなか、同国への影響力拡大を図る中国やインドなどの動きも焦点となる。

スリランカの政権は大統領や首相、財務相などの主要ポストをラジャパクサ一族が占める状態となっていた。

地元報道機関などによると、3日夜までに閣僚の一斉辞任が決まった。ゴタバヤ・ラジャパクサ大統領と兄のマヒンダ・ラジャパクサ首相は続投する方針だが、弟のバシル・ラジャパクサ財務相ら他の閣僚が代わる。ロイター通信によると4日に一部の閣僚の人事が発表され、直近まで法相を務めていたアリ・サブリ氏が新たな財務相に任命された。外相らは当面続投となった。

スリランカ中央銀行の総裁は同日、辞任を申し出たとツイッターで明らかにした。

主に観光業に依存するスリランカ経済は、新型コロナの発生で深刻な打撃を受けた。外貨準備は2月末時点で約20億ドル(約2450億円)で、前年同月から半減した。20年2月末と比べると4分の1程度にまで減っている。

スリランカは電源構成に占める火力発電の割合が高いが、外貨不足で石炭や石油などを十分に輸入できない状態に陥っている。計画停電が連日続き、スリランカ政府は3月末には停電時間を1日13時間に延長する方針を示した。食料品や医療物資も不足している。

直近数カ月の消費者物価指数の上昇率は、前年同月比で10%を超える水準で推移している。政権運営に対する国民の不満から各地で抗議活動が起こり、最大都市コロンボでは暴徒化した市民が大統領官邸を襲撃する事態にまで発展した。大統領は1日、治安維持などを理由に全土に非常事態を宣言した。

スリランカ政府は政府批判を抑えるため、フェイスブックやツイッターなど主要なSNS(交流サイト)の利用を一時制限した。制限には閣内からも批判の声が上がり、ロイター通信によると3日のうちに解除された。

スリランカ経済は新型コロナ以前から、債務を巡る課題に直面していた。特に広域経済圏構想「一帯一路」を推進する中国の関与が目立っており、支援と引き換えに同国の影響力が強まる「債務のわな」に陥っているとの指摘がある。

既に南部ハンバントタ港の開発では、スリランカが債務を返済できず中国に99年間の運営権を譲渡した。日本とインドの参画で一時合意していたコロンボの東コンテナターミナル(ECT)開発についても、スリランカ側が全額出資で運営すると計画を一方的に変更したうえで、中国企業に工事の発注をすると決めた。

ラジャパクサ大統領は1月に中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談し、対中債務の支払いの条件緩和を求めたという。中国はこのほど、スリランカに対する食料支援を決定した。

ラジャパクサ大統領は親中派と目されるが「中立」を強調しており、インドからも支援を引き出している。インドは2月にスリランカに対し5億㌦の融資を決めたほか、3月には発電事業や漁港開発に関する新たな覚書を結んだ。

インド洋の島国であるスリランカは、中東・アフリカと東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝にあたる。同国の経済危機を巡っては安全保障上の思惑から、各国の駆け引きが一段と激しくなりそうだ。

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