香港国安法裁判で16人否認 政権転覆罪で被告47人

【香港=木原雄士】香港国家安全維持法(国安法)違反で起訴された香港の民主派47人の裁判が6日、始まった。31人が罪を認め、16人が否認した。黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら民主派の中核メンバーは服役や公判前の勾留で社会から隔絶されたままだ。
47人の被告は立法会(議会)選挙に向けた2020年の予備選挙に絡み、国家政権転覆罪に問われた。黄氏のほか、民主化を求めた雨傘運動の提唱者として知られる戴耀廷氏、デモ主催団体元代表の岑子傑氏ら著名な民主派が軒並み起訴された。多くが2年近く、保釈を認められていない。
6日の裁判には傍聴券を求めて約200人が並んだ。民主派団体・社会民主連線が政治犯の即時釈放を求めて横断幕を掲げ、警察側ともみ合う場面もあった。

裁判は陪審員抜きで、証人尋問などの手続きに4カ月程度かかる見通し。罪を認めても、判決は全員の審理の後になる。米国務省は22年の報告書で「非暴力犯罪に対する公判前の長期勾留は公正な裁判を受ける権利を侵害するとの指摘がある」と記した。
カナダのフレーザー研究所がまとめた最新の「人間の自由度指数」で香港は34位と、10年の3位から順位を大きく下げた。同研究所は「法の支配や表現・集会・結社の自由が最も顕著に低下した。香港の専制政治への転落は悲劇だ」と非難した。