韓国造船、LNG船の受注拡大 背景に欧ロの緊張関係

【ソウル=細川幸太郎】韓国造船大手が液化天然ガス(LNG)運搬船の受注を積み増している。大宇造船海洋は2022年に入って、すでにLNG船5隻の受注を獲得した。欧州は緊張関係の高まるロシアへのLNG依存を避けて他地域からの海上輸入を増やしており、運搬船の需要拡大につながっている。
大宇造船は3日、ギリシャの海運大手からLNG船2隻のほか、別の欧州船会社からコンテナ船6隻の計1兆8438億ウォン(約1770億円)を受注したと発表した。
英調査会社クラークソン・リサーチによると、21年の世界のLNG船の受注数は83隻で、うち大宇造船が15隻を占めたという。同社は1カ月余りで、前年の受注の3分の1を獲得した格好だ。
この調査によると、現代重工業を傘下に持つ韓国造船海洋とサムスン重工業は21年にそれぞれ32隻、22隻を受注しており、韓国大手3社で世界の83%を占めた。
LNG船は零下150度を下回る極低温で天然ガスを保存する巨大タンクの強度と燃費性能が求められ、韓国3社が高いシェアを誇っている。
韓国産業通商資源省によると、国内の21年の船舶受注額はLNG船がけん引役となって20年比2.3倍の439億ドル(約5兆円)、19年比でも93%増と、8年ぶりの高水準となった。
足元での欧州のエネルギー危機がLNG船の需要増につながっている。欧州はパイプラインでロシアから天然ガスを大量に輸入しており、ウクライナ問題を受けてロシアが供給停止をちらつかせ始めた。中東や東南アジアからの輸入を増やすためにはLNG船の確保が不可欠で、欧州の海運会社が発注量を増やしている事情がある。