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香港、コロナ死亡率が世界最悪 感染爆発で政策迷走

【香港=木原雄士】香港で新型コロナウイルスの感染が爆発的に広がっている。感染者数は1月以降の累計で人口の1割にあたる約75万人にのぼり、直近の死亡率は世界最悪の水準に達した。全員検査や都市封鎖(ロックダウン)をめぐる政府方針が迷走し、不安を感じた市民がスーパーマーケットに殺到した。中国式「ゼロコロナ」政策の限界を露呈した。

香港は厳しい水際対策で感染を防いできたが、2月に入り急拡大した。英オックスフォード大の研究者らがつくる「アワー・ワールド・イン・データ」によると、100万人あたりの1日の死者数(7日移動平均)は直近で37.6人と世界最悪。米国や英国の過去のピーク時の水準も上回った。

高齢者のワクチン接種率が低く、重症者を病院に収容しきれない医療崩壊の状態になった。香港メディアによると、中国共産党最高指導部の韓正(ハン・ジョン)副首相は感染者の受け入れを拒否する民間病院の対応を批判した。

香港政府は約740万人の全住民の強制検査を3月に実施すると発表したが、食品の買い急ぎなどの混乱が広がり、「全員検査は最優先でない」と軌道修正した。中国政府の支援による隔離施設の整備は感染者の急増ペースに追いつけず、合わせて約30万人の感染者と濃厚接触者がそれぞれの自宅にいるという。

香港は中国当局が厳命した「ゼロコロナ」政策の看板を下ろせず、感染を徹底して封じ込めるため、夕方以降の外食や対面授業、米英など主要国からの旅客機乗り入れを禁じたままだ。硬直的な対策に不満を持つ外資系企業の駐在員らが香港を離れる動きがある。1月以降、香港を出発した人から到着した人を差し引いた居住者の純流出は10万人を超えた。

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