インドネシア、中国製の高速鉄道車両を公開 23年開業へ

【ジャカルタ=地曳航也】インドネシア中国高速鉄道公社(KCIC)は首都ジャカルタと約142キロメートル離れた西ジャワ州の主要都市バンドンを結ぶ同国で初めての高速鉄道の車両を、メディアに公開した。工事の進捗率は約9割に達し、2023年6月の開業をめざす。
1日に公開した車両は中国の鉄道車両製造大手、中国中車傘下の中車青島四方機車車両が製造した。9月上旬、ジャカルタのタンジュンプリオク港に到着した。全長約200メートルの8両編成が検査用を含めて全部で12セット納入されることになる。
車両を覆うカバーは終始つけたままだった。KCICによると、VIP座席、1等・2等座席、食堂車で構成する。最高時速350キロメートルで、在来線では3時間半かかるジャカルタとバンドンの区間を最短35分で結ぶ。各駅停車では45分かかる。
11月にはインドネシアのジョコ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席がテスト走行で同乗する計画もある。習氏はインドネシアが同月、議長国としてバリ島で開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席する予定だ。
インドネシアの高速鉄道をめぐっては当初、日本が新幹線方式で受注することが有力視された。ジョコ氏はインドネシアに財政負担を求めないという条件で中国案を採用した。だが、土地収用の遅れや新型コロナウイルスの感染拡大の影響で完工は予定の18年から大幅に遅れている。
総工費も当初見積もりの55億ドル(約8000億円)を大幅に超える。インドネシア政府は21年10月、従来の方針を覆して国費投入を決めた。国会で必要な金額を精査している。