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豪、中国企業のダーウィン港賃借見直しへ  

国防相が地元紙に発言 安保上の観点で利用制限も検討

中国の嵐橋集団がダーウィン港の賃借契約を結んでいた=ロイター

【シドニー=松本史】中国企業がオーストラリアの地方政府と結んだ北部ダーウィンの商業港の賃借契約について、同国のモリソン政権が安全保障上の観点から利用制限を含めた見直しを検討していることが3日分かった。同港の中国企業による賃借は、米国の同盟国への中国の影響力拡大を示す事例として問題化していた。背景には台湾問題や最近の豪中関係の悪化もある。

同日付の豪紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」がダットン国防相の発言として伝えた。ダットン氏はモリソン首相が議長を務める国家安全保障会議が契約の見直しについて国防省に助言を求めたことを明らかにしたうえで「(助言するための検討)作業はすでに進行中だ」と語った。

中国企業が持つ権益の強制売却の可能性について問われると、国防省からの助言の後に「国益にかなった複数の選択肢を検討できるようになる」と述べ、否定しなかった。

ダットン氏は中国に厳しい姿勢で知られ、利用制限を含めた複数の選択肢を提言する可能性が高い。モリソン首相は4月末、出演したラジオ番組でダーウィン港について問われ「国防省や情報機関から安保上のリスクがあるとの助言があれば、政府は何らかの行動を取るだろう」と語っていた。

2015年、中国の嵐橋集団が北部準州政府と約5億豪ドル(約420億円)で同港を99年間賃借する契約を結んだ。ダーウィンは米海兵隊が巡回駐留する安保上の要衝で、当時のオバマ米政権は、中国の脅威に対して無神経だと不快感を表明したとされる。

この動きを受けて豪議会は18年、外国からの重要インフラへの投資について安全保障上のリスクがある場合、担当大臣がリスク軽減の命令を出せるようにする「重要インフラ保安法」を可決した。

20年には地方自治体が外国政府と結んだ協定が連邦政府の外交方針と一致しなければ、無効にできる法律も制定した。今年4月、ペイン外相は、中国が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に関して南東部ビクトリア州が中国と結んだ覚書や協定を無効にすると発表した。

このタイミングでのダーウィン港の契約の見直しには、台湾問題などで深まる豪中対立がある。豪州は米国や日本、インドと連携する枠組み「Quad(クアッド)」の一員だ。中国が台湾海峡や南シナ海で軍事活動を増やす中、ダットン氏は4月下旬に台湾有事について「軽視すべきとは思わない」と発言し、警戒を強める日米と足並みをそろえた。その直後に豪州はダーウィン近辺の軍事訓練施設4カ所を増強すると発表し、米軍との合同軍事演習を強化する方針を示していた。

豪中関係を巡っては、20年4月に新型コロナウイルスの発生源を巡り独立した調査を求めたモリソン首相に中国が強く反発。豪産食肉の輸入を制限し、大麦やワインに高関税を課した経緯がある。

中国外務省の汪文斌副報道局長は4月26日の記者会見でダーウィン港の賃借契約に関し「外国で投資して運営する中国企業の合法的権益を中国政府は断固として守る。オーストラリアは正常な協力に干渉することをやめてほしい」と発言している。同港の賃借契約の破棄に至れば中国はさらに反発するのは必至で、何らかの対抗策を打ち出す可能性もある。

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