香港民主派47人、異例のマラソン公判に 一括審理で混乱

【香港=木原雄士】香港の裁判所は3日、香港国家安全維持法の国家政権転覆罪で起訴された47人の公判を3日続けて開いた。47人をまとめて審理し、1日の初公判は日付をまたいで14時間の「マラソン法廷」となった。体調を崩して病院に運ばれる被告が出るなど、異例の事態になっている。
47人は立法会(議会)選挙に向けた2020年の予備選に絡み、政権転覆を企てた疑いが持たれている。公判では弁護人が一人ひとりの保釈を請求し、検察側が反論するやり取りが続いた。1日は14時間、2日は10時間かかった。2月28日に拘束・起訴され4日間同じ服を着ている被告も多い。
香港国家安全法は「国家の安全を害する行為をしないと信じる十分な理由がない限り、裁判官は保釈を認めてはならない」と定める。同法で起訴された香港紙創業者・黎智英(ジミー・ライ)氏はいったん保釈が認められたものの、中国共産党機関紙が裁判所の決定を批判。最終的に保釈決定が取り消された。
起訴状は戴耀廷・元香港大学副教授や東大大学院に在籍する元議員の区諾軒氏ら5人が予備選で中心的な役割を果たしたと指摘した。中国政府高官は47人のうち、戴氏や服役中の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏を名指しして「法律で厳しく処罰されなければならない」と批判しており、拘束が長引く可能性も指摘されている。