対馬の盗難仏像「日本に所有権」 韓国高裁が判決 - 日本経済新聞
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対馬の盗難仏像「日本に所有権」 韓国高裁が判決

(更新)

【大田(韓国中部)=甲原潤之介】韓国の大田高裁は1日、長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた仏像を巡り、韓国の寺院の所有権を認めた一審判決を取り消し、観音寺の所有権を認める判決を言い渡した。

盗難後に韓国の寺院がもともとの所有者だと主張して引き渡しを求め、日韓の寺院が1体の仏像の所有権を争う異例の訴訟に発展していた。韓国の寺院側は上告する方針だ。

問題の仏像は観音寺から2012年、文化財窃盗団によって盗まれた長崎県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」。日本政府は韓国政府に仏像を返すよう要請しているが韓国内で訴訟になったため、いまだに返還が実現せず外交問題になっている。

原告の韓国・浮石寺は数百年前に倭寇(わこう)によって略奪されたと主張し、盗品として保管している韓国政府を相手に訴訟を起こした。大田地裁は17年に韓国の寺院側の所有権を認める判決を下した。

高裁は判決で仏像制作時の史料に記される「浮石寺」が、現在の浮石寺と同一の寺院だと判断する根拠が足りないと指摘した。さらに日本の寺院側が民法上の取得時効が成立する20年を超える期間にわたり仏像を所有していることから、原告の主張は通らないと判断した。

高裁は所有権の判断をする一方、日本に返還すべきかどうかの判断には踏み込まなかった。被告である韓国政府に対し「国際法の理念や文化財返還に関する協約などの趣旨を考慮して扱う必要がある」と言及した。

原告側の弁護士は判決後、記者団に大法院(最高裁)で争う考えを示した。韓国・浮石寺の住職は「現在の浮石寺と過去の浮石寺の同一性を立証するため最善を尽くす」と話した。

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