SK系、半導体ウエハーを増産 5年で2300億円投資

【ソウル=細川幸太郎】半導体主要材料のシリコンウエハーを手掛ける韓国のSKシルトロンは、今後5年間で総額2兆3000億ウォン(約2300億円)を投じて韓国内のウエハー工場を増強する。11月から新製造棟の建設を始めて2024年上半期の量産開始を目指す。足元の市況は悪化しているものの、長期的にみれば半導体需要は強いと判断、大型投資を決断した。
同社が主力拠点を構える韓国南東部亀尾(グミ)市の産業団地に敷地を確保。3月から整地が進んでおり、まず新棟建設に向けて8550億ウォンの投資を取締役会で決議した。市況を見極めながら、半導体産業で主流の大口径12インチのシリコンウエハーの生産設備を増強していく計画だ。
シリコンウエハーは薄い円盤型で、顧客である半導体メーカーが複雑な処理を施してウエハー上に微細な電子回路を形成する。シリコンの純度や形状の均質さなどでウエハーの品質が決まり、信越化学工業とSUMCOの日本勢2強が高いシェアを持つ。
19年の日本政府による半導体関連素材の対韓輸出管理の厳格化を受けて韓国政府は主要な半導体材料の国産化を強く推し進めてきた。今回のSKシルトロンの増産投資の背景には、12インチウエハーを手掛ける唯一の韓国メーカーへの政府による増産要請もあったもようだ。SKシルトロンは今回の投資に合わせて1000人超を新規採用する。
SKシルトロンは、17年にSKがLGグループから6200億ウォンで買収した。21年通期の売上高は1兆8496億ウォン、営業利益は2816億ウォンだった。信越化学とSUMCO、台湾の環球晶円(グローバルウェーハズ)、ドイツのシルトロニックに次ぐ5位。サムスン電子とSKハイニックスの半導体メモリー2強を主要顧客としている。