/

身近なモノが10年後にどう変わったらうれしいですか? 

市井明俊・日本精工社長 経営者編第9回(2月7日)

日本精工(NSK)はトライボロジー・カンパニーです。トライボロジーとは摩擦を科学すること。摩擦をうまく制御し、モノの動きを滑らかにすることで、動力の伝達効率を向上させ、エネルギーロスを軽減します。

摩擦と聞くと、ネガティブな印象が強いかもしれませんが、摩擦がないと機能しないものも多くあります。例えば、航空機が空を飛ぶのは、空気抵抗という摩擦が存在するからです。北京冬季五輪が始まりましたが、摩擦がないとスケートで前に進むこともできません。路面とタイヤの摩擦があるから、自動車も安全に進むことができます。摩擦は日常生活に不可欠なものですが、それが動きを妨げ、スピードやパワーをそいでしまうこともあります。

摩擦を制御し、動きを円滑にするために必要なのが、NSKが手掛けるベアリング(軸受け)やボールねじなどです。回転そのものの摩擦を少なくしたり、回転運動から直線運動を生み出したり、エネルギーの伝達効率を高めるうえで、ベアリングが果たす役割は大きいです。私たちが普段使っている家電を例にとっても、掃除機の吸引力を高め、より静かに長時間稼働するために、モーターなどの動きを支えるベアリングが欠かせません。エアコンが素早く稼働するのも、適度な室温に調整できるのも、ベアリングがあるからなのです。

今、環境問題への対応が、世界的な課題になっています。風力発電の風車の回転にも、電気自動車(EV)の駆動システムやブレーキにも、ベアリングやボールねじによる摩擦の制御は欠かせません。新しいエネルギー、新しい移動手段を効率よく、支障なく動かす。世界中で高速化が進む新幹線などの車両を、ずっと安全に運行させるためにも、ベアリングは不可欠で、日本と欧州のベアリング技術は、世界でも最高峰の水準だと評価されています。

もっと速く、もっと強く、もっと滑らかに、日常使っている機械や道具には改善してほしい余地がまだまだ多く残っています。長い時間使い続けても壊れない耐久性も、同時に問われます。社会のこうした要請に応えることで、ベアリングの技術は進化し、それが最終製品の質の向上につながります。

そこで読者の皆さんにお願いです。あなたの身近にあり、日常、いつも使っているモノが10年後、どんな風に変わっていたらうれしいですか。毎日の生活で必要なモノが、もっと便利になり、もっと安全に使えるようになったら、私たちの生活はきっと良くなっているはずです。こんなものがあったらいいな、と思うアイデアも含めて、皆さまからの、斬新なご提案をお待ちしています。私たちNSKと一緒に10年後の、今より豊かで笑顔があふれる社会を実現していきましょう。

市井明俊・日本精工社長の課題に対するアイデアを募集します。投稿はこちらから。

編集委員から

食品や家電、クルマなど消費者が直接購入する商品を作る企業は、社名を広く知られていることが多い。テレビなどのCMにも積極的で、ますます知名度が上がる。一方、最終商品を作るために必要な部品や部材を作る企業は、優良企業なのに知られていないことが多い。スマートフォンは誰でも知っているが、そこに必要な部品の多くを作っているのが日本の会社であることは、あまり浸透していない。

ベアリングという商品もそうだ。自動車、家電など日常、よく目にする様々な商品に使われているが、直接、見える機会は少ない。なくてはならない商品なのに目立たない。縁の下の力持ちのような存在だ。そんな隠れた優良企業にもっと光が当たってほしい。半導体やスマホ、パソコン、液晶テレビ、太陽光パネルなどの製造に不可欠な部品や部材は日本の企業がしっかり支えている。ベアリングも含め、そんな構図をもっと多くの人に知ってほしい。(編集委員 鈴木亮)

◇   ◇

今回の課題は「身近なモノが10年後にどう変わったらうれしいですか?」です。400字程度にまとめた皆さんからの投稿を募集します。締め切りは2月15日(火)正午です。優れたアイデアをトップが選んで、28日(月)付の未来面や日経電子版の未来面サイト(https://www.nikkei.com/business/mirai/)で紹介します。投稿は日経電子版で受け付けます。電子版トップページ→ビジネス→未来面とたどり、今回の課題を選んでご応募ください。

未来面

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

関連企業・業界

企業:

セレクション

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン