中国、コロナ「戦時宣言」乱用厳禁が証明する危機再来
編集委員 中沢克二
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羊飼いの少年がいつも「オオカミが来るぞ」とウソを叫んでいると、本当にオオカミが来た時、大人に信じてもらえず、羊が食い尽くされる大惨事を招く。そんなイソップの寓話(ぐうわ)まで引いて中国の中央政府が各地方の新型コロナウイルス対策の虚飾を厳しく非難する異常事態が起きている。
問題になったのは、コロナとの戦いで安易に「戦時状態」に入ったという宣言を乱発する地方政府の行動だ。「大砲を持ち出して蚊を打つまね...
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経済や安全保障面で米国の一極支配を打破しようとする中国の習近平政権の中枢で何が起きているのか。習国家主席による腐敗撲滅政策の狙いなどを的確に報じ、「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した中沢克二・日本経済新聞編集委員(前中国総局長)が深掘りする。