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「目利きの個人」が選んだ2020年のベスト投信は?

年に1度、個人投資家自らが優れた投資信託を選ぶ「ファンド・オブ・ザ・イヤー2020」が16日に発表された。インデックス(指数連動)型投信「eMAXIS Slim全世界株式(オ-ル・カントリー)」が2年連続で1位に選ばれるなど、低コストで世界の株式に幅広く投資するインデックス型投信が人気を集めた。前回は上位10投信のうち米国株投信が3つを占めたが、今回はインデックス型米国株投信は9位の1本だけ。20年は米国株の上昇力に注目が集まったものの「特定の国の株価上昇が永続するとは限らず、世界に幅広く投資する方が安心」という声が聞かれた。

「自分たちから見たベスト投信」に投票

投票したのは、投信に関するブログを書いている投信ブロガー185人。投資を続けながら独自に勉強を重ねている「目利きの個人投資家」たちだ。30~40代で商社、通信、金融など様々な業種で働く会社員が主体。ブログの閲読者が月数十万人を超えるブロガーもいる。

ブロガーの有志が「金融機関で薦められる『売れ筋』投信と、個人投資家が評価する投信との差が大きい。自分たちから見たベスト投信を選んで発表することで、より良い投資環境をつくっていきたい」と始めた。今回は14回目だ。

「個人に支持されている」という評価は販売増にもつながるため、運用会社がこのランキングの公表時期を見据えてコストを改定するなど業界への影響力も年々強まっている。例年は数多くのブロガーが発表会に集まるが、新型コロナウイルスの感染が広がる今年は初めてのオンライン開催となった。

「最安コストで投資できる安心感」

三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim」シリーズはトップ10のうち5本を占めた。同じ資産クラスで他社がより低い信託報酬を打ち出せば追随して引き下げる方針を表明し、実際、過去数度にわたって引き下げてきたことが広く支持された。1位の「全世界株式」の信託報酬は年0.11%。投資家からは「このシリーズを持っていればいつも最安コストで投資できるという安心感がある」などの声が聞かれた。

挨拶でビデオ出演した三菱UFJ国際投信の代田秀雄常務は「20年はコロナで株式相場が乱高下した中で、投信を持ち続けられた人と(下落局面で)売却した人で大きな差が生じた。長期投資の重要性を肌で感じた1年ではなかったか」と話した。

2位は三菱UFJ国際と低コストを競い続けているニッセイアセットマネジメントの「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」。信託報酬を先行的に引き下げ続けてきている。同社の上原秀信常務は「長期にわたって資金流入が継続している。今後もより大きく育てたい」とあいさつした。3位は米バンガード社の、中小型株も含めて世界の株式に幅広く投資する上場投信(ETF)だった。

4位の「セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド」はインデックス投信を組み合わせて国内外の株式と債券に分散投資するバランス型投信。過去10年で今年を含めて8回、上位10投信に選ばれ続けており根強い人気を誇る。

やや意外だったのが米国株投信の上位入賞本数の減少。昨年の株式市場はコロナ下で米国の「GAFAM」に代表されるデジタルプラットフォーム企業の優勢が目立った。米国株の長期上昇力への評価が高まり「投資は米国だけでもいいのではないか」との声も一部で聞かれる。

米国株型から世界株型へ

しかし過去を振り返ると、米国株が好調だった2000年前後までの時期の後に、新興国を含む世界株が優位だった時期が訪れ、その後再び米国株の勢いが高まったように、特定の地域だけが一貫して上昇するとは限らない(グラフ参照)。巨大ハイテク株など米国企業の強さが注目された時期に、今回のランキングで世界株投信の評価が高まったのは「目利きの個人」のバランス感覚なのかもしれない。

もともとこの賞の上位にはインデックス型が選ばれやすい。もちろん、運用者の腕で平均を上回ることを目指すアクティブ(積極)運用で成功すれば、コスト差などをはるかに上回る成績を得られる。しかし長期で勝ち続けるアクティブ型投信を前もって選ぶことの難しさを、多くのブロガーが熟知していることがインデックス人気の背景だ。

そんな中で選ばれたアクティブ投信が、主に日本の成長企業株を対象とする5位の「ひふみ投信」と、米国の個別株を対象にする10位の「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」。ひふみは昨年は14位、おおぶねは同12位からともに順位を上げた。いずれも独自の運用哲学で好成績を上げ続けていることが評価されている。

ひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークスの藤野英人会長兼社長は「引き続き基準価格の上昇をお客様と喜べるように頑張る。長期目線で保有を続けてほしい」と話した。

(編集委員 田村正之)

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