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新しい年です。あなたは何を学びたいですか?

読者の提案と社長の講評 芳井敬一・大和ハウス工業社長編

芳井社長の提示した「新しい年です。あなたは何を学びたいですか?」という課題に対し、多数の投稿をいただきました。紙面掲載分を含めて、当コーナーでその一部を紹介します。

■言葉が持つ力

佐々木 望(札幌国際大学人文学部3年、21歳)

言葉が持つ力について学びたい。昨今、TwitterやInstagramなどのSNSでの誹謗中傷が問題となっている。誹謗中傷が原因で自殺したというニュースを耳にする度、言葉はとても恐ろしいものだと感じる。一方、友人や先生から応援や励ましの言葉を聞いて、言葉はとても優しいものだとも感じる。言葉が持つ二面性を学び、理解すれば、人として成長できると思う。そして、言葉の力が私たち人間にどれほど影響があるのか、対面での会話とSNSでの会話の言葉の影響力の違いも学んでいきたい。私は今、アルバイト先で高校生の新人を育成している。仕事を教えるとき、新人に何と言えばより理解してもらえるか、モチベーションが高まるのかと苦労している。言葉の力を学べば、より気持ちが伝わる言葉、話し方がわかり、相手との信頼関係を築くことができると思う。いつか皆が言葉を正しく使い、誹謗中傷がなくなることを願う。

■身体が一番の先生

鵜飼 信(会社員、39歳) 

学ぶとは真似をすることから始まるというが、私が真似をしたいのは自分自身の身体の仕組みだ。人体というのは驚くほど精緻にできていて、現代社会の最先端技術でも及ばないことが多い。例えば私たちの社会ではラストワンマイルがしばしば問題となるが、毛細血管は日々体の隅々の細胞まで必要な酸素や栄養を届けている。この仕組みを社会の中で活かすことはできないか。あるいは私たちは常在菌や腸内細菌と共生している。これは外国人との共生のモデルにならないだろうか。多種多様な細胞がそれぞれの役割を発揮できているのはダイバーシティの参考になるかもしれない。このように私たちにとって最も身近な存在である身体には、まだまだ大いに学ぶべきことがある。何か新しい問題にぶつかった時、同じような課題を身体がどのように解決しているのか考えてみれば、きっと重要な手がかりが得られるだろう。身体は生涯離れることのない最上の先生なのだ。

■「仕事って?」を深める

多胡 七香(渋谷教育学園渋谷中学3年、15歳)

2022年、私が学びたいのは「仕事」についてだ。今まで、仕事とはお金を稼ぐための手段で、辛くて面倒くさいものだと思っていたが、そのイメージが大きく変わったからだ。昨年は学校の授業や講演会などで、会社員や研究者、NPO職員などから仕事に対するやりがいや思いについて直接話を聞く多くの機会に恵まれた。終身雇用だけではない様々な働き方があることも知った。仕事は色々な人との出会いの場だったり、自分自身の成長につながる場だったりするのだと思うようになった。私は今春から高校生になる。これからは将来関わりたい職業を具体的にイメージして様々な事を選択する機会も多くなっていくだろう。自分が人生でどのようなことを学び、経験していきたいのか、この機会に考えたい。仕事について学ぶことは自分の人生そのものに深くかかわるのだと知ったいま、さらに学びを深めていく1年にしたいと考えている。

【以上が紙面掲載のアイデア】

■国際協力への一歩

福元 花梨(関東学院六浦高校1年、16歳)

2021年は宗教についての知識を増やすため教会に通うことを決めた。今年は将来の夢のために国際協力についてより深く学びたい。私は将来、国際協力機構(JICA)の活動に参加したいと考えている。JICAのプロジェクトに高校生が参加することは難しい。そこでまず国際協力に関連するボランティア活動をしたいと思う。NPOが主催する国際協力関係のボランティアはたくさんある。そこから自分の学びに必要なものを選んで参加したい。国際協力に関連するボランティア活動に参加することで、現在の発展途上国の状況をさらに詳しくリアルに理解したり、自分たちが現地の人たちとかかわることができるアイデアを考えたり。これら社会に参加できるようなことに挑戦したい。そんな現場では、高校生から大人までの幅広い世代の様々な意見から、自分の考えだけにとらわれない見方を経験することができるだろう。夢への一歩を踏み出すための学びの一年にしたい。

■学んだあとが大事

高橋 鈴香(主婦、55歳)

私は50歳のとき、障害児童施設で働くことになり、保育士の資格を取得した。コロナ禍で本試験を受けるには至っていないものの、53歳のときには社会福祉士の通信講座を受けて受験資格を得た。もともと福祉の世界で働いてはいたが、「知識を深めるため」という動機付けのために、資格取得を目指して学ぶようにしてきた。だが、学びながら感じることがある。「資格や知識はただの引き出しにすぎない」と。必要なときに開いて利用する、ただそれだけのものだと。多くの資格や知識を得ても、上手く使うことができなければ何にもならない。資格や知識をいたずらにひけらかせば、おごりやつまらないプライドが顔を出すだけだ。引き出しを増やすことは大事だが、それ以上に大切なのは引き出しを開ける人の人柄や考え方、人間性のようなものではないか。つまり、学んだだけではダメ。学んだあと、そこで得たものを使う自分自身の心構えや想いこそが問われると思う。

■受け継ぎたい、母の味

大西 沙希(会社員、28歳)

私が学びたいのは料理、それも母の味だ。仕事や語学、資格など、この世に学ぶことはたくさんあるけれど、料理研究家でも何でもない私の母の味を学ぶことができるのは、娘である私だけ。そう気づいたからだ。そんな風に思うようになったのは昨年、人生で初めて実家を出たのがきっかけだ。恥ずかしながら家事をほとんどしてこなかったのですべてが初めての経験だったが、料理は好きになった。自分がいかにおいしい料理をつくれるか試そうと、ありとあらゆる料理をつくってみた。あるとき、ふと食べたくなったのは肉ジャガ。母がつくる料理の中で私が一番好きなメニューだ。ところが、いざ自分でつくった肉ジャガを食べてみると、今まで慣れ親しんだ母の味とまったく違う。母にレシピを尋ねてみると、材料はほとんど同じだった。でも、味はなぜか違うのだ。分量を聞くと、母の答えは「適当」。私が同じ味をつくれるようになるのはいつになるだろうか……

■プロとしてのあり方

渡辺 気(関東学院六浦高校1年、16歳)

プロとしてのあり方を学びたい。2022年が始まり、私は舞台に立たせてもらう機会があった。舞台に命をかけている方々を間近で見ることができた。稽古場は雰囲気が良かった。しかし緊迫感が張り詰めていた。稽古ではシリアスな雰囲気になることが何回もあった。声のかけ方がきつい役者さんもいた。そんな中、高校生で出演する私にも優しく接してくれて、誰にでも対等に接してくれる役者さんに目がとまった。彼はキャリアも実力もあるが、偉ぶらず誰にでも優しく接していた。さらに世界的なダンスチームと今回は一緒に舞台に立つことができたことで、練習の雰囲気を直に感じることができた。それはブレイクダンスのチームだったので、ちょっと怖い人たちだと思い込んでいたが、毎回笑顔であいさつを返してくれた。舞台が終わったあと「また同じ舞台に立ちたい」と声をかけてもくれた。実力だけでなく、他人から慕われる人こそ、本当のプロではないかと痛感した。

■幼き日の夢を追う!

中山 哲也(会社員、53歳)

私には「バスの運転士になりたい」という子供のころからの夢がある。今は、縁あってバスの運転とは全く異なる金融の世界で仕事をしている。この幼き日の夢を実現するために、心身の健康維持のための体力強化を考えている。まずはジョギングで毎月50kmが目標だ。そして大学受験以来35年触れていない英語を学びたいと思っている。英語でコミュニケーションが取れれば、バスの運転士としての可能性が広がり、同時にバスの運転士の中での差異化が図れるのではないか。これぐらいのものがないと、ロートルの新米運転士が活躍できる機会はないだろう。いずれやって来るアフターコロナの時までに、体力強化と簡単なコミュニケーション英語を身につけることが出来たなら、私のバスの運転士としての市場価値は高く、その結果、私が活躍できる時間が長くなる。夢に見た仕事に少しでも長く従事出来ることを期待しつつ、覚悟を持って五十の手習いを始めてみたい。

■自分の住むまち

高橋 雄一(会社員、52歳) 

転勤を伴う職業のため、4年程度ごとに住む地域が変わってきた。最終の地は自分が育ち、現在両親が住む場所と決めた。そして、地域のことに関心を持つようになった。それは故郷に限らずどの地にいても抱くことだ。高齢化が進むまちは諸問題を引き起こす。家、交通、医療、介護、デジタル、孤独などの問題が複雑に入り組んで徐々に顕在化する。最近MaaSやまちづくりの観点で事業の一部に携わるようになり、その重要性を感じている。認知症入り口の父と病気がちの母が二人で住む故郷に自分の近い将来を重ねて思いを馳せる。高齢となりもし一人で生きていかなければならなくなったとき、どんなまちに住みたいだろうか。そして自分はそういうまちづくりに携れないだろうかと考えるようになった。まちは高齢者だけでなく、若者や子育て世代等もそこに住みたいと思うようでないと活性化しないし、解決も見いだせない。そんなまちづくりについて学んでみたい。

■他言語文化の習得

宮崎 イーサン(関東学院六浦高校1年、15歳)

他国の言語とその国の文化。今年はこの二つを同時に学びたい。現在は日本語中心の生活なので不自由を感じない。しかしグローバル化が今後ますます加速する流れには逆らえないと思う。日本の国際化が進むと同時に、私もこれから社会経験を重ねていく中で、言語や文化の壁には阻まれたくないと思っている。だから今のうちに色々な言語を身に付けて、言語の背景にある文化も理解しながら、自分自身の内なる国際化に備えたいと考えている。今勉強している英語はもちろんだが、将来は欧州へぜひ行きたい。だから欧州圏の言語を最低1カ国分は勉強しておきたい。その目的の一つは大好きなサッカーにある。将来、スペインやドイツなどのサッカー強豪国で自分がプレーしている姿を思い描いていると、やる気もわいてくる。コミュニケーションがとれて相互理解が深まるよう、現地の言葉と文化をマスターしたい。国内にいたとしてもこの2つは自分の選択肢を広げそうだ。

■忙しくても学ぶ楽しさ

川合 明美(会社員、39歳)

いつも日経新聞をざっとめくる程度の私に今回の課題が目に飛び込んできた。今年は何を学ぼうか、と心がワクワクしていたからだ。私には3人の子どもがいて、短時間勤務ながら正社員で働かせてもらっている。家事に育児に仕事にバタバタで、効率良く動かないと回らない毎日だ。忙しいけれど、なんだか楽しい。忙しくしていることが、きっと私の性にも合っているのだろうと思う。だから土日も容赦なく用事を入れる。用事のほとんどは「学び」と「気付き」が目的だ。子どもも巻き込んで、一緒にいろいろな体験をする。いつもと違う一面が見られたり、たくさんの思いを共有したりできる。人生100年時代といわれるなか、これからも多くの変化が待っていると思う。その変化を楽しむためにも、私は忙しくても学び続け、自分の可能性を広げたい。今年はもっと仕事をしながら学べる環境にできないか、知恵を絞っている。

■明日をいかに楽しく

野村 倖奈(札幌国際大学人文学部3年、21歳)

私は、明日を楽しく生きるにはどうしたらいいかを学びたい。現代はストレス社会といわれ、「ストレス」という言葉を頻繁に耳にする。コロナ禍による生活の変化にも慣れてきたところだが、ストレスを抱えて生きている人は多いだろう。電車内で乗客同士のけんかや、スーパーで店員を客が怒鳴る場面などを目撃して、大人たちの余裕のなさを感じる瞬間がある。私は、それをとてももったいないと感じる。「人生楽しんだ者勝ち」というけれど、まさにその通りだと思う。私の日々のささやかなストレス解消法は、歌を歌うことだ。自分の部屋で好きな歌を歌うことで、いやな気持ちがほぐれていくのを実感する。それと同時に「楽しい」という感情が湧いてくる。楽しい気持ちは人を豊かに、前向きにすると思う。生きづらいといわれている世の中を変えることができるかもしれない。世界がもっと幸せになるためにも、私は明日を楽しく生きるすべを知りたい。

■日本をもっと学ぶ

戸田 理那(関東学院六浦高校1年、15歳)

私は中学の3年間を台湾で過ごした。海外で生活してみると、今まで常識だと思っていたものが通用しないこともあるのだと経験した。まだ中学生だった私には受け入れ難かったけれど、この経験が、日本という国を外から見つめる大きなきっかけを与えてくれた。自分にとっては、とても貴重な経験になったと考えている。帰国して迎えた新しい年は、今度は内側から日本を見直して、優れたところをたくさん学んでいく年にしたい。台湾で暮らした3年間を通じて実感したのは、私は日本が大好きなのだということだ。海外に行って気づくことができた日本の良さは、接客サービスのレベルの高さと人の優しさだったが、きっともっとたくさん探し出せるはずだ。何気ない日々の生活の中で、友だちとのふとした会話の中で日本の素晴らしさを見つけ、そうすることで海外の素晴らしさも見つけられるようになりたいと思う。

■アウトプットの仕方を学ぶ

丹下 義英(会社員、58歳)

私は建築設計という仕事に就き34年になり、来年定年を迎える。そのうち23年間を、家族帯同で海外赴任し、多様な経験をしてきた。また日本を離れている間は日本の情報を絶やさないように積極的に日本の情報に接した。そんな今、「学ぶ」というインプットは充実しているように感じている。そこで、これからはそのインプットを「発信する」、「教える」、「伝える」というアウトプットに変えたいと考えている。正しい情報を発信するには自分が学ぶ必要があると思う。そして、アウトプットを受けた相手からも新しい発見など学びたい。人は限られた中でしか学べない。どのように正しい情報を、人に伝わるアウトプットとするのか?今年は定年後を見据えた第二の人生のため、よりよい社会のために人に届く「アウトプット」の仕方を学びたいと考えている。

■人を幸せにするマーケティング

福山 雪花(駒沢大学グローバル・メディア・スタディーズ学部2年、21歳)

一般的にマーケティングの定義とは「売れる仕組みを作る」ことであり、以前の私は一種のビジネスの手法だと思っていた。しかし、実際にマーケティングを大学で勉強していくにつれて製品やサービスを提供することで多くの人を幸せにし、結果的に自分も幸せにできる手法だということを知った。そこで2022年はたくさんの人を幸せにできるマーケティングが自分の幸せにつながる可能性についてもっと学びたい。具体的には、なぜ企業はマーケティング活動を行うことで製品・サービスに加えて幸せを顧客に届けることができるのか、自身の生活にマーケティングを取り入れてみることでより充実した生活を送ることができるのかの2点を研究し実践してみたい。企業と顧客の両方の立場に立ち考えていくことでマーケティングが自分のみならず家族や友人などの幸せも叶えられる可能性があることを信じて学んでいきたい。

大和ハウス工業・芳井敬一社長の講評

まず「言葉の力」を学びたいというご意見に共感しました。私自身、社員や取引先などに、言葉を通じて多くのことを伝えています。ここで大事なのは「伝える」ことではなく「伝わっている」ことです。こちらが頑張って話しているつもりでも、相手に伝わらないのでは意味がありません。

ジャパネットたかた創業者の高田明さんは「テレビショッピングで売れないのは、伝え方が悪かった時」と語っておられます。いい商品でも、その魅力が伝わらないと売れません。言葉の果たす役割は重要です。私はスピーチや挨拶、訓示の原稿は自分で作っています。ここで笑って欲しい、ここはうなずいて欲しいと思っているタイミングで反応が薄いと、伝わっていないなと修正したりします。言葉の持つ力を学ぶことは大きな意義があります。

「身体が一番の先生」も納得できるご意見でした。コロナ禍で自分の健康状態に注意を払うようになりましたが、体のしくみをよく理解しておくと、健康な状態を維持するのに役立ちますし、毎日の生活を送るうえで、大きな武器になります。体はウイルスなどの外敵が侵入すれば戦ってくれるし、耳や目など自然と左右のバランスを取ってくれます。体の仕組みは社会全体の仕組みに通じるところもあります。

「『仕事って?』を深める」は中学3年生からいただきました。もう働いておられる世代の方かなと思ったので、驚きました。将来どんな仕事をしてみたいのか。中学、高校時代から考えるのはすばらしいことです。仕事によっては、身体的な能力や技術、体力が必要なこともあり、早めに準備を始める方がいいです。大学に入り、就職活動が始まってから考えても、やりたい仕事を見つける時間的余裕がなかったり、入社試験に合格するのが目標になってしまったりします。中学時代から考える環境があるのは、うらやましいですね。

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せっかく入った会社をすぐに辞めてしまう若者が多いと、よく耳にするが、芳井敬一社長は「1、2年で辞めるのは決断が早いとも言える。悪い面ばかりではない」と指摘する。今は早期退社する若者に批判めいたことは一切言わず、新天地で頑張れよと背中を押しているそうだ。

会社に入ることがゴールではない。やりたい仕事のために言葉の力を高めて周囲を説得する。やり通すには健康第一だから、自分の体の発信するサインに気を配る。これらは働く人たちすべてに当てはまる教訓かもしれない。(編集委員 鈴木亮)

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