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福島第1に高濃度汚染、デブリ搬出難航も 規制委推計

原子力規制委員会の検討チームは26日、東京電力福島第1原子力発電所の事故分析の中間報告案をまとめた。放射性物質の高濃度汚染が残る2、3号機の原子炉建屋上部について、最大7京(京は兆の1万倍)ベクレル程度のセシウム137があると推計した。2022年開始予定の溶融燃料(デブリ)取り出しなど今後の作業も難航が予想される。

廃炉作業が続く福島第1原発(19年3月、福島県大熊町)

福島第1原発は11年3月の東日本大震災に伴う津波の影響で原子炉を冷却できなくなり、1~3号機が炉心溶融(メルトダウン)を起こした。事故から30~40年後の41~51年の完了を目指して廃炉作業が続いている。事故の反省を踏まえて発足した規制委は福島第1の教訓を原子力の安全規制に生かすため、事故分析を重視している。

規制委が事故の報告書をまとめるのは14年10月以来。建屋内の放射線量が下がり、短時間なら立ち入れる場所が増えたため 、19年9月から事故分析の検討を再開した。建屋への立ち入り調査と専門家らとの議論を経て、事故から10年を前に現状の成果をまとめた。

今回、規制委は事故時の放射性物質の移動経路を調べるために、様々な場所の放射線量を測定した。その結果、高濃度汚染が指摘されてきた2、3号機の原子炉格納容器の真上にある鉄筋コンクリート製のふた「シールドプラグ」に残るセシウム137の量を推計することができた。セシウム137は事故で環境に放出した代表的な放射性物質で、事故当時、1~3号機の原子炉内には約70京ベクレル存在していた。

高濃度汚染が残る福島第1原発3号機のシールドプラグ(中央の円状部分、東京電力ホールディングス提供)

推計結果によると、1号機が100兆~200兆ベクレルだったのに対して、2号機は100倍以上の2京~4京ベクレル、3号機は3京ベクレルに上った。事故によって環境に放出したのは1.5京ベクレルで、多くは建屋内にとどまったほか、建屋内に入ってきた水に溶け出した。

1号機に比べて2、3号機上部の汚染が高い理由は分かっていないが、今後の廃炉作業の大きな壁となる。規制委の更田豊志委員長は「ふたを外すところから大問題になる。廃炉にとって極めてインパクトの強い情報だ」と話す。

1~3号機に約900トン残るとされるデブリの取り出しは2号機で22年に始まる予定で、廃炉作業で最も重要かつ困難な作業とされる。最初は格納容器の横から機械を入れて容器の底にあるデブリを取り出すが、いずれ原子炉圧力容器内のデブリを取り出す際には高濃度に汚染したシールドプラグを外す必要が出てくる可能性もあり、難航が予想される。

現地調査を通じ、2号機では排気によって内部の圧力を下げるベントが1度も成功しなかった「確定的な証拠」も把握。放射線量の測定結果からベント時に壊れるはずの板が壊れていなかったという。

1、3号機はベントに成功したものの、外部に排出したはずの水素や水蒸気などの気体が逆流していたことも判明した。規制庁の担当者は「設計上予想されていなかったことが起きることの事例だ」として今後の安全対策に役立つ可能性があるとみる。

福島県のテレビ局が撮影した水素爆発の映像の分析からは、3号機で爆発が複数回起きたことや水素以外の可燃ガスを含んでいた可能性があることも分かった。事故を巡っては、まだ分かっていないことも多いうえ、格納容器内など立ち入れない場所もあり、規制委は事故分析を今後も続ける方針だ。

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